時評(8月11日)

政府が家庭のプラスチックごみ全般を一括回収する新分別区分「プラスチック資源」を設ける方針案をまとめた。文房具や台所用品などを、ペットボトルなどとまとめて「資源ごみ」として扱い、再利用を促すのが狙いだ。 日本は欧州主要国と比べてプラごみの削減.....
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 政府が家庭のプラスチックごみ全般を一括回収する新分別区分「プラスチック資源」を設ける方針案をまとめた。文房具や台所用品などを、ペットボトルなどとまとめて「資源ごみ」として扱い、再利用を促すのが狙いだ。[br] 日本は欧州主要国と比べてプラごみの削減対策が大幅に遅れている。7月から始まった「レジ袋有料化」とともに今回の方針を評価したい。ただし問題は回収後の処分方法だ。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を出す焼却分を減らして再利用を徹底することがこの政策の大前提となる。[br] これまでペットボトルなどは1995年に制定された容器包装リサイクル法に基づき、ある程度再利用化が進んでいた。しかし、文房具や台所用品などの処理は自治体によってまちまちで、可燃物として焼却されたり、不燃ごみとして埋め立て処分されたりしてきた。[br] 7月下旬に開かれた環境、経済産業両省の有識者会議は2022年度以降の開始を目指し、来年3月までに自治体の負担軽減策を検討することも決めた。ごみの回収作業はプラごみに限らず自治体の負担が大きい。回収後の選別作業も複雑で手間がかかる。具体的な負担軽減策や、業者がより効果的に低コストで作業できる仕組みも提示してほしい。[br] 日本では年間約900万トンのプラごみが出る。国民1人当たりのプラごみ量は米国に次いで世界2位だ。「プラごみ排出大国」なのに多くは焼却され、再利用率は約25%。しかも回収プラごみの約70%はベトナムなどに輸出されている。国内で再利用されるプラスチック量は少なかった。ここを改善することが今後の最重要課題だ。[br] 再利用しやすい製品、環境負荷が低い代替製品の開発を促進する支援策も実施すべきだ。新型コロナウイルス感染症の拡大で食品の持ち帰りが増え、プラ製容器の利用も増えている。[br] このコロナ禍で多くの人が身近な生活を見直している。プラスチックは生活の隅々に浸透している。「脱プラ」は容易ではないが、消費者もプラ製品を少しでも減らす努力をしたい。[br] 夏に消費量が増えるペットボトルは毎年20億本が回収されていない。分別せず無造作に捨てる消費者の責任もあるだろう。[br] プラごみは海を汚染し、焼却されれば温暖化を進める。問題を解決するため政府と自治体、そして業者と消費者が問題意識を共有し、歩調を合わせて努力することが何より求められる。