天鐘(8月11日)

八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)は皇位の証し。歴代の天皇が継承してきた。令和の新時代が幕を開けた昨年、注目を集めた。いわゆる「三種の神器」は転じて、時代の趨勢(すうせい)や種々の流儀を語る.....
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 八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)は皇位の証し。歴代の天皇が継承してきた。令和の新時代が幕を開けた昨年、注目を集めた。いわゆる「三種の神器」は転じて、時代の趨勢(すうせい)や種々の流儀を語る際も広く用いられる▼冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビは戦後の暮らしを変えた。高度経済成長に伴ってカラーテレビ、クーラー、自動車が普及する。平成のデジタルを経て、令和は人工知能(AI)搭載。家電の変遷は世相を映す▼「日本的経営」とは終身雇用、年功序列、企業内組合。経済学者のジェームス・アベグレンは60年以上前、経済大国を読み解いた。独自の文化に対する視線は好意的だったが、現下の格差社会は企業に構造改革を迫る▼医師の極意はメス、薬、そして言葉とされる。実はある漫画の受け売りである。必ずしも定説ではないのだろうが、思わずうなずいてしまう一場面。言葉に対する不信は不安を呼び、信頼は安心を生む▼「低レベル」「死ぬのが正解」。暴言にあ然とした。インターネットの健康相談で医師が突きつけた回答だという。医療は専門知識を要する。故に意思疎通の不足が生じることもあろうが、無自覚にも程がある▼パソコンやスマートフォンで書き込んでも、もちろん口から発しても、時に言葉は刃になる。ネットは現代社会に不可欠な存在となったが、いじめや中傷が後を絶たない。神器か否か、要は人間である。