時評(7月19日)

むつ市が2018年8月から建設を進めていた市総合アリーナが完成した。むつマエダアリーナとして9月1日、供用が始まる。バスケットボールやバレーボールなどのプロスポーツや国体を開催できる規格を備え、市のスポーツ振興を担う新たな拠点として期待され.....
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 むつ市が2018年8月から建設を進めていた市総合アリーナが完成した。むつマエダアリーナとして9月1日、供用が始まる。バスケットボールやバレーボールなどのプロスポーツや国体を開催できる規格を備え、市のスポーツ振興を担う新たな拠点として期待される。子どもたちに夢と希望を与え、市民のスポーツ熱を高める施設として定着してほしい。[br] 総合アリーナは延べ床面積8010平方メートル。メインアリーナとサブアリーナがあり、13年11月に耐震強度不足で閉鎖された市民体育館の3倍規模となる。最大の特徴は、メインとサブを仕切る壁を開放することで、計約3千平方メートルを一体的に運用することを可能にしたこと。全国初の仕様という。[br] 全体の構造も選手、観客それぞれが試合に集中できるよう、配色や材質など一つ一つにこだわった。バリアフリー対応を含め、全ての人が利用しやすい設計を目指した。集客は常設の観覧席と稼働席などを合わせると、最低でも約2千人が可能という。プロの迫力ある試合を間近で見て、感動や興奮を味わえる日が待ち遠しい。[br] 市民体育館閉鎖で不便を強いられていた各種競技団体にとっても待望の施設となろう。供用開始まではプレオープン期間として、市内のスポーツ少年団などに無料開放している。東京五輪の室内競技でも採用されるクッション性のある床など、一足先に使用感を確かめてほしい。[br] 下北地方中学校体育大会夏季大会の競技会場としても提供された。県大会は残念ながら新型コロナウイルス感染拡大防止で中止となったが、中学生たちはひのき舞台で練習成果を発揮できる機会となり、良い思い出になったに違いない。[br] 総合アリーナ建設にかかる総事業費は54億円。国や青森県の補助金、合併特例債を活用することで市の実質負担額を11億4千万円に抑えた。特例債の25年間の償還額は年間4千万円で、厳しい市財政への影響を最小限にとどめたことは評価したい。[br] 懸念は維持管理費だ。年間1億円以内に抑えるよう努力するとしているが、運用しないとそれも見通せない状況だ。収束しない新型コロナも水を差す。プロスポーツやさまざまな催しも3密防止などの対応を常に迫られることになり、集客に影響もあろう。公共施設という特性上、利益を追求する施設ではないとしても、多額の赤字は看過できない。市側は難しい運営を迫られるが、維持費圧縮に知恵を絞るよう注文を付けたい。