天鐘(7月7日)

五色の短冊に願い事を書いて笹竹(ささだけ)にくくりつける。ことしも幼稚園児や小学生たちが七夕飾りを作る記事が本紙に載るようになった。子供たちの真剣なまなざしがほほえましい▼何年か前に見た短冊が忘れられない。「サッカーがじょうずになりたい」「.....
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 五色の短冊に願い事を書いて笹竹(ささだけ)にくくりつける。ことしも幼稚園児や小学生たちが七夕飾りを作る記事が本紙に載るようになった。子供たちの真剣なまなざしがほほえましい▼何年か前に見た短冊が忘れられない。「サッカーがじょうずになりたい」「ケーキやさんになりたい」などの中に、「ながいきしたい」というのがあった。少子化の現実も感じながら、思わず苦笑した▼かつて、七夕には裁縫や書道の上達を願うのが習わしだった。時と共にそれは家内安全や無病息災など多様な祈りに変わった。元々の意味合いの変化にいちいち目くじらは立てまい。子供たちの純真な夢も応援したい▼さて、今夜、空の神様には、あふれるほどの願いが届けられよう。依然、収束が見えぬ感染症、心痛む人種差別、怒りに震える選挙違反事件もあった。誰もが祈る世の平穏。そんな中で、今度は九州を襲う非情の大雨である▼夜空を流れるロマンチックな天の川とは裏腹に、地上の暴れ川は容赦ない。備えはあれど、いつもその威力は想像を超える。毎年のようにどこかが天にかき乱される日本列島。不安は募るばかりだ▼七夕に降る雨を「催涙雨(さいるいう)」と呼ぶそうだ。雨でかなわなくなった逢瀬(おうせ)に、織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が流す涙だとか。気持ちは分かるが、どうかこれ以上は勘弁願いたい。星の輝く夜空に届けたいのは夢と希望。天災に泣く人の涙の祈りではなく。