時評(7月7日)

東京都知事選で小池百合子氏が再選を果たした。前回の得票数291万票をはるかに上回る366万票以上を得票。新型コロナウイルス下、対策の陣頭指揮に当たった現職が圧勝した。 全国民の1割以上が生活し、予算規模が15兆円以上、総生産が105兆円超を.....
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 東京都知事選で小池百合子氏が再選を果たした。前回の得票数291万票をはるかに上回る366万票以上を得票。新型コロナウイルス下、対策の陣頭指揮に当たった現職が圧勝した。[br] 全国民の1割以上が生活し、予算規模が15兆円以上、総生産が105兆円超を数える超巨大都市に課題は山積する。加えて新型コロナ対策そして新しい生活様式の確立は急務だ。かじ取りに当たっては、政府そして各道府県との調整が欠かせない。[br] 気掛かりはコロナ感染の再拡大だ。東京都での新たな感染者は2日から連日100人以上。西村康稔経済再生担当相と小池氏は会談で「夜の街」対策を強化することで一致したが、先行きは予断を許さない。首都圏の動向は地方経済にも大きく影響する。埼玉県の大野元裕知事が「(国や他県と)緊密に連携し、拡大防止策に取り組む」と述べるように政府、自治体が一体となった対応が求められる。[br] コロナと密接に関連するのは東京五輪・パラリンピック。小池氏は公約で「都民・国民の理解が得られる形での開催」を掲げたが「日本で新たなパンデミック(世界的大流行)を生み出すこともあり得る」(都知事選で争ったれいわ新選組の山本太郎氏)と開催自体に否定的な見方も根強い。[br] 1年延期で想定される巨額の追加費用が都財政の重荷となることは確実で、コロナ対策費と相まって重圧となることが予想される。[br] 小池氏が強調するコロナを機とした「新しい日常」にも問題がないわけではない。テレワークの普及が通勤ラッシュ解消などに寄与するのは確かだ。一方、都心のオフィスの縮小や企業の地方分散が加速すれば税収が減少する可能性があるだろう。[br] 既に現行のふるさと納税制度は都にとってはマイナスに働いている。小池氏は公約で「東京の未来は都民と決める」と訴えたが、国、地方との協調も重要となるだろう。[br] 小池氏の得票は、立憲民主、共産、社民各党の支援を受けた無所属の宇都宮健児氏、山本太郎氏、日本維新の会推薦の小野泰輔氏という2位以下3候補を合わせた得票も大きく上回った。[br] 投票率の低さも影響しただろうが、コロナを巡る「ロックダウン(都市封鎖)」「東京アラート」など小池氏の繰り出した強いキャッチフレーズが都民の心に響いたのは間違いない。数々の難問を前に、掛け声にとどまらない真価が問われるのはこれからだ。広く各方面が注目している。