日本銀行青森支店は10日、青森県内の金融経済概況(同日現在)を発表した。県内の景気について、「新型コロナウイルス感染拡大の影響で悪化している」とし、前回(5月18日)の判断を据え置いた。勝浦大達支店長は「先行き不透明な状況は続いているものの、自粛の動きが弱まりを見せ、個人消費に持ち直しの動きも出ている」との見解を示した。[br] 「悪化している」の判断はリーマン・ショックの影響を受けた、2008年12月から10年3月に用いた「厳しい状況」と同程度の表現としている。今回は緊急事態宣言の解除による移動自粛の緩和で、個人消費に持ち直しの動きが出てきているとし、「一段と悪化している」とはしなかった。[br] その個人消費については、前回の「大幅に減少している」から「減少している」に改善。スーパーやドラッグストアは巣ごもり需要などで好調だが、百貨店や乗用車販売、観光などは減少が続く。ただ、宿泊施設は営業再開の動きがあり、聞き取り調査では利用者が増えつつあるという。[br] 生産に関しては「弱含んでいる」との判断を維持したが、世界的な需要縮小による生産水準の引き下げで製造業に減少が見られる。 雇用・所得情勢では、新規求人が減少していると指摘。設備投資は、収益環境の悪化から控える動きもあり、注意が必要とした。[br] 勝浦支店長は「感染を警戒しながらの経済活動で、厳しい状況は簡単にはなくならない。ただ、徐々に人の流れは戻ってきているので、経済の体温が上がっていくのを期待したい」と述べた。