時評(6月4日)

日韓関係が再び緊張してきそうだ。日本の韓国に対する半導体材料の輸出規制強化を巡り、韓国は世界貿易機関(WTO)での紛争解決手続きを再開することを明らかにした。期限としていた5月末までに、日本側から輸出規制強化措置の撤廃の判断が示されなかった.....
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 日韓関係が再び緊張してきそうだ。日本の韓国に対する半導体材料の輸出規制強化を巡り、韓国は世界貿易機関(WTO)での紛争解決手続きを再開することを明らかにした。期限としていた5月末までに、日本側から輸出規制強化措置の撤廃の判断が示されなかったためだ。[br] さらに韓国は、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)についても、8月の終了通告期限を待たずとも「いつでも破棄できる」と警告している。[br] 日韓は、韓国人元徴用工や元従軍慰安婦を巡る問題でも対立。このままでは通商、安全保障の分野も含めた全面的な対立に再び発展しかねない。日韓は対立を防ぐ努力をすべきだ。[br] 日本が、半導体材料3品目の輸出規制を強化してから来月で1年を迎える。韓国は、規制強化の全面的な撤回を求め、昨年9月にWTOに提訴した。[br] 日韓が昨年11月、輸出規制に関する協議開始で合意したことから、WTOの手続きは半年余りにわたって中断していた。また、韓国がGSOMIAの当面維持を決め、日本は一部品目の輸出規制を緩和したが、韓国側は全面撤回を求めてきた。[br] 韓国は今回、日本が指摘した輸出管理上の問題点について、制度改善や人員拡充に取り組んだことで「全て解消されている」と強調し、「日本は問題解決の意思を示していない」と批判。これに対し日本側は「一方的に発表を行ったことは遺憾だ」と不快感を示した。[br] 日本が輸出規制強化をとった背景には、韓国人元徴用工の訴えを認めて賠償を命じた韓国最高裁判決がある。日韓外務省当局者は5月に電話会談し、元徴用工訴訟問題に関し早期解決の重要性を確認したものの、双方が従来の立場を主張した。[br] 韓日議員連盟会長を務めてきた韓国の前国会議員は、新型コロナウイルスによる世界的な危機は、防疫協力を通じた日韓関係改善の好機だと訴えている。[br] 一方、日韓議員連盟の幹事長を務める自民党の河村建夫元官房長官は韓国紙に、日韓で募った寄付金を元徴用工らに支給する法案などが韓国国会で成立すれば対韓輸出規制が解除されるとの見通しを示した。[br] ただ昨年、当時の韓国国会議長がこうした内容の法案を国会へ提出したものの、元徴用工側の反発により審議に入れず廃案となっている。[br] 日韓は新型コロナの防疫や米中対立への対応などで協力し合える。対立を克服する機会を逃さず力を尽くすべきだ。