【新型コロナ】東京から“疎開”「もし感染していたら」募る不安

新型コロナウイルスの感染拡大阻止に向けた緊急事態宣言の発令により、対象地域を離れる“コロナ疎開”。さらなるまん延の可能性をはらんでいるため、多くの自治体が移動の自粛を呼び掛けている。ただ、宣言以前に都内から八戸へと“避難”してきた人たちもお.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大阻止に向けた緊急事態宣言の発令により、対象地域を離れる“コロナ疎開”。さらなるまん延の可能性をはらんでいるため、多くの自治体が移動の自粛を呼び掛けている。ただ、宣言以前に都内から八戸へと“避難”してきた人たちもおり、張り詰めた緊張感を脱し、古里で穏やかな時間を送る。一方、インターネットでは感染者を探り当てるような書き込みも多く見られ、「もし感染していたら家族に迷惑が掛かる」「帰っていることを誰にも知られたくない」との思いから、帰省後は極力外出を控えるなど、毎日さまざまな不安や葛藤と向き合っている。[br] 都内の大学に通う女性(20)は、両親に帰るよう促され、3月13日に八戸へ戻ってきた。大学は春休み中だったが、アルバイト先のバーは客が途絶え、店長からしばらく雇えないと言われて時間を持て余していた。[br] 気晴らしに街へ出ても、ほとんどの人がマスクをし、どこかうつろな表情。都会のきらびやかさに憧れて上京したが、いつの間にかそれはなくなっていた。[br] 八戸に帰ってきたが、友人はほとんどおらず、正月以来の実家でのんびりと過ごす日々。そろそろ遊びに行こうかなと思い始めたころ、市内で相次いで感染者が確認された。[br] 感染に関するニュースを知ろうと、投稿サイト「ツイッター」で検索すると、感染者に関する情報や家の場所などがさらされ、恐怖を覚えた。「自分も外から来た身。人ごととは思えなかった」という。[br] その日から毎日体温をチェックし、会う約束をしていた友人にも「帰省していることは、だまっててちょうだい」と伝えた。父親は「帰ってきてくれてよかった」と喜んでいるが、心境は複雑だ。[br] 東京で暮らす別の女性(34)は、幼い5歳と3歳の子ども2人を連れて、3月上旬に八戸に帰ってきた。毎日変化する状況に、安心して子育てができないとの思いも募り、夫が帰省を後押ししてくれた。[br] 都内では公園に子どもたちを連れて行くことにも不安を覚えた。「八戸では思いっきり遊ばせてあげよう」。しかし、感染者が増えるにつれて、状況は日に日に似てきている。[br] ある日、子どもを連れて実家の周辺を散歩していると、こっちを見てささやいている2人の知らない女性の姿が。次の日も視線を感じ、「東京から帰ってきたらしい。感染しているかもしれないわよ」という声が聞こえた。[br] 両親は「気にするな」と言ってくれたが、「都内から来て4週間ほどたち、症状もないが、100%感染していないとも言い切れない」。次第に食材の買い出しもそそくさと済ませるようになり、なるべく家で過ごすようになった。「これでは東京にいた時の方が子どもたちを外に連れ出してあげられた。帰ってきてはいけなかったのかな」。