三鉄 特需消え、前途多難

関係者らに出迎えられ、笑顔で久慈駅に降りる乗客=14日午前9時半ごろ
関係者らに出迎えられ、笑顔で久慈駅に降りる乗客=14日午前9時半ごろ
昨年10月の台風19号被害から5カ月を経て、三陸鉄道リアス線の久慈―普代間が14日、再開した。ただ、新型コロナウイルス感染拡大への警戒感で、再開後の列車の団体予約はキャンセルが相次ぎ、祝賀ムードに暗い影を落とす。東日本大震災、台風と度重なる.....
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 昨年10月の台風19号被害から5カ月を経て、三陸鉄道リアス線の久慈―普代間が14日、再開した。ただ、新型コロナウイルス感染拡大への警戒感で、再開後の列車の団体予約はキャンセルが相次ぎ、祝賀ムードに暗い影を落とす。東日本大震災、台風と度重なる自然災害を乗り越えてきた三鉄だが、再出発は前途多難だ。[br] 久慈駅ではこの日、ホームに入る車両を久慈市職員や観光関係者らが大漁旗や小旗を振って出迎えた。ただ、昨年3月のリアス線全線開通時に比べると鉄道ファンの姿は少なく、乗客はまばらだった。[br] 全国から団体客が詰め掛け、リアス線の全線開通効果を最大限に享していたさなかに被災。懸命の復旧作業で迎えた再開だが、ようやく入り始めた3月下旬や4月の予約も、キャンセルが続く。当て込んでいた特需が消え、三鉄幹部は「かなり深刻な事態だ」と嘆く。[br] それでも、観光業界は再開を好機ととらえる。久慈広域観光協議会の貫牛利一専務理事は「三鉄は我々にとって希望の光。久慈―普代間は全区間の中でも特に景色が良い。これから暖かくなり、足を運ぶ人が増えたら」と期待を寄せる。[br] ファンもエールを送る。久慈駅発の一番列車に乗り込んだ東京都の大学生成瀬賢紘さん(21)は「三鉄は多くの人に愛され、震災からも復活できた。20日の全線開通で弾みをつけ、頑張ってほしい」と話す。[br] 正念場を迎える三鉄。中村一郎社長は「ようやくここまでたどり着いた。新型コロナに関しては早期終息を願うしかないが、一人でも多くのお客さまに乗ってもらえるように努めていく」と語った。関係者らに出迎えられ、笑顔で久慈駅に降りる乗客=14日午前9時半ごろ