【八戸市栽培研究リポート】(3)ネギ

リン酸の施肥方法を比較した「夏扇パワー」(八戸市農業経営振興センター提供)
リン酸の施肥方法を比較した「夏扇パワー」(八戸市農業経営振興センター提供)
三八地域で作付けが盛んなネギに欠かせない肥料の一つに、リン酸がある。リン酸は近年、国際的な需要増などにより価格相場が不安定化しており、使用量を減らしても収量を維持できる技術が求められている。 国の研究機関である農研機構は近年、新たな方法を提.....
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 三八地域で作付けが盛んなネギに欠かせない肥料の一つに、リン酸がある。リン酸は近年、国際的な需要増などにより価格相場が不安定化しており、使用量を減らしても収量を維持できる技術が求められている。[br] 国の研究機関である農研機構は近年、新たな方法を提唱した。専ら土壌へ混ぜて与えていた従来のリン酸施肥に代わり、定植前の苗にも溶液で直接吸収させることで、より少ない施肥量でも十分な収量が得られるとしている。八戸市農業経営振興センターは2018年度以降、これが八戸の土壌でも適合するのか検証している。[br] 調査では、苗の根をリン酸溶液に直接浸す「浸漬(しんせき)」と、より簡単に、じょうろで上から溶液を与える「灌注(かんちゅう)」の効果の違いも併せて比較した。定植は3月、収穫は7月下旬で、品種は地元の主力「夏扇パワー」と「みちのく701」。浸漬・灌注の区域では、土壌に混ぜる別のリン酸肥料も、定植前は半減、定植後は与えずにおき、効果を確かめた。[br] 18年度は目立った成果がなかったものの、19年度は従来の方法に比べ、浸漬・灌注の10アール当たり収量が上回った。単価の高い2L、Lサイズとなった率も同等以上。浸漬と灌注の差は、明確には見られなかった。[br] 調査を担当した田茂竜児技査は「まだ断言はできないが、これまでの試験傾向から、リン酸の使用量を減らせる浸漬、さらに手間の少ない灌注でも実用化できる可能性がある」と指摘する。[br] 20年度は同様の比較調査を新たに行いつつ、品種ごとの特性調査も手掛ける予定だ。リン酸の施肥方法を比較した「夏扇パワー」(八戸市農業経営振興センター提供)