天鐘(2月29日)

2月29日生まれの同級生がいた。気になる女子。小学6年生の時に「やっと3歳だね」とからかうと、悲しい顔をされた。4年に一度の特別な誕生日が羨ましかっただけなのに。天邪鬼(あまのじゃく)の苦い思い出だ▼閏(うるう)日に生まれた人は、28日が満.....
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 2月29日生まれの同級生がいた。気になる女子。小学6年生の時に「やっと3歳だね」とからかうと、悲しい顔をされた。4年に一度の特別な誕生日が羨ましかっただけなのに。天邪鬼(あまのじゃく)の苦い思い出だ▼閏(うるう)日に生まれた人は、28日が満了した時点で年を重ねる。だから彼女は歴(れっき)とした12歳だった。「年齢計算ニ関スル法律」に基づく。4月1日生まれの人が、早生まれとして扱われるのと同じである▼キャッチコピーは「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」。ラグビーワールドカップの感動は記憶に新しい。イベントとは別に、一生に一度の特別な日が多い3月。子どもを取り巻く春の風景がいつもと違う▼中学3年生の動揺が大きい。高校受験の追い込みは家での自己学習。仲間との思い出を刻む貴重な時間が突然、終わりを告げた。震災の余波におびえて義務教育をスタートさせた子どもたちが、最後に新型肺炎に振り回される▼休校は感染拡大を防ぐ選択肢の一つではある。子どもの預け先は? 仕事を休む理由になる? 善後策を伴わない政治決断だから、無計画で唐突に映る▼世界同時株安が影を落とす。思えばリーマン・ショックは12年前の閏年だった。パンデミック(世界的大流行)への恐れに世の中がささくれ立っている。「躊躇(ちゅうちょ)なき実行」で混乱を招いた政府が、重ねて強調する責任とは。中身のない言葉は不信しか生まない。