天鐘(2月19日)

タプコプとはアイヌ語で小高い丘。田子町の地名の由来とされる。面積の8割が山林で、風光明媚。評価の高いニンニク、田子牛も豊かな自然が育む。地元を愛する人々は“日本一の田舎”を自負する▼岩手との県境の和平高原も自慢の一つだった。丘陵を覆う緑が涼.....
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 タプコプとはアイヌ語で小高い丘。田子町の地名の由来とされる。面積の8割が山林で、風光明媚。評価の高いニンニク、田子牛も豊かな自然が育む。地元を愛する人々は“日本一の田舎”を自負する▼岩手との県境の和平高原も自慢の一つだった。丘陵を覆う緑が涼風に泳ぐ。みずみずしい山菜が採れる。黄金色に染まる草紅葉は錦絵。手が届きそうな星空が日本で最も美しいと称されたこともある▼現地に強制捜査が入ったのは1999年。産廃業者が運び込んだ堆肥やRDF(ごみ固形化燃料)は偽装品。再利用する「有価物」として行政を欺いた。かくして不法投棄は国内最大規模に。廃棄物を撤去した今も植生回復の取り組みが続く▼原発から出た使用済み核燃料を六ケ所村の工場で処理し、再び原発で燃やすサイクル事業。むつ市の中間貯蔵施設は、六ケ所で再処理する原料を一時的に保管する倉庫に当たる。新規制基準による安全審査が実質的に終了したという▼原発事故後に停滞していた事業が動き出す。だが、搬出先の再処理工場は完工の確たる見通しがない。処理能力にも限界がある。サイクルが機能しなければ、倉庫の在庫がたまる。最悪の場合は「資源」が「ゴミ」と化す▼再処理で発生する高レベル放射性廃棄物を含め、多くの約束事をしている国や電気事業者である。よもや核のゴミを“不法投棄”することはあるまい。