岸田氏、次期総裁選へ苦境 クリーン前面に再浮上模索

 自民党の岸田前政調会長を巡る状況(似顔 本間康司)
 自民党の岸田前政調会長を巡る状況(似顔 本間康司)
自民党の岸田文雄前政調会長が「ポスト菅」レースで苦境に立たされている。県連会長として陣頭指揮を執った25日の参院広島選挙区再選挙で敗れたためだ。2019年の参院選買収事件による逆風下とはいえ、保守王国での敗北。党内からは次期総裁選出馬を危ぶ.....
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 自民党の岸田文雄前政調会長が「ポスト菅」レースで苦境に立たされている。県連会長として陣頭指揮を執った25日の参院広島選挙区再選挙で敗れたためだ。2019年の参院選買収事件による逆風下とはいえ、保守王国での敗北。党内からは次期総裁選出馬を危ぶむ声も上がる。岸田氏は今回の反省を踏まえ「クリーン政治」を前面に打ち出し再浮上を模索する。[br][br] 「私の力不足で、心からおわび申し上げる。本当に申し訳ない」。党本部で28日に開いた岸田派緊急会合。岸田氏はメンバーに深々と頭を下げた。[br][br] 再選挙は、公選法違反(買収)で有罪が確定した河井案里元参院議員(自民離党)の当選無効が原因だ。岸田氏は3月下旬に県連会長に就任。岸田派は「岸田氏を首相にする第一歩」(小野寺五典元防衛相)と必勝を期した。[br][br] ただ選挙戦は思い通りに進まない。県連は先の参院選で強引に河井元議員を立てた党本部にわだかまりを抱えたままで、公明党とも次期衆院選の候補擁立を巡りぎくしゃくしていた。野党は自民党本部が河井陣営に投入した1億5千万円を問題視し「政治とカネ」で攻め立てた。[br][br] 報道各社が自民党の苦戦を報じる中、岸田派ベテランは15日の派閥会合で「岸田氏の今後に大きく影響するのに危機感が見えない」と激怒。所属議員を広島へ大量派遣したが、流れは変えられなかった。[br][br] 敗戦後の27日、森山裕国対委員長は岸田氏を「火中の栗を拾われただけでも立派」と慰労した。ただ党内には岸田氏の力量を疑問視する声が渦巻く。ある党幹部は「県連を制御できていない」と切り捨てた。岸田派幹部は「総裁選出馬は首の皮一枚の状況だ」と焦りを見せる。[br][br] 逆境の中、岸田氏は再起へ動く。金権政治が問われた再選挙を逆手に取り、クリーンな自民党実現を訴える考えだ。岸田氏は28日の派閥会合で「今回の選挙結果を『広島の地域事情』と矮小(わいしょう)化してしまうと、大きな間違いを犯す。政治とカネ問題や自民党の体質は、全国共通の課題だ」と強調した。[br][br] ただ政治とカネ問題を取り上げれば取り上げるほど、執行部批判へとつながっていく。総裁選で「生命線」とする重鎮の反発を招きかねず、派内からは早くも岸田氏の新路線に懸念が出ている。 自民党の岸田前政調会長を巡る状況(似顔 本間康司)