2019年に流出したフェイスブック(FB)利用者5億人分の情報が今月、インターネット上で公開され、拡散した。日本分のデータ約42万件の中には政治家や公務員とみられる肩書や氏名、電話番号も多数含まれる。一度流出した情報は永久に消えず、ネット上を漂流。別の情報と組み合わせてサイバー犯罪に悪用される恐れもある。[br][br] ▽100カ国超[br] 「無料でダウンロードできます」。今月3日、ハッカー向けサイトにFBから漏えいしたとされる世界100カ国超の個人情報が掲載された。データ量は10ギガバイトに上り、誰でもアクセスできる。[br][br] FBは共同通信の取材に、データが19年9月以前に自社サービスから取得されたものと認め、悪用されたシステム上の欠陥は既に修正したと説明した。利用者に対する謝罪はなく「一度流出したデータの再流通を防ぐことは困難」との認識も示した。[br][br] 情報セキュリティーの専門家によると、最初に流出した2年前よりも今回の方が広く拡散し、回収も消去もできない状態という。[br][br] ▽著名政治家も[br] 日本の国番号で始まる携帯番号が載った約42万件のデータの内容を確認すると、職業やメールアドレスが付記されているものも多く、著名な政治家の情報もあった。現在利用中の携帯番号が氏名と一緒に流出していた東京都の男性は「自分が知らないところで情報がやりとりされており、気味が悪い」と話す。[br][br] 防衛省や外務省など国家公務員の肩書が記されたものも100件以上あり、外交や安全保障上の問題を指摘する声も。政府関係者は「19年の流出時に被害を把握し、しかるべき対策を取った」と明かした。[br][br] ▽身を守る意識[br] 今回拡散したデータだけでは、すぐに不正ログインなどの二次被害につながるわけではない。ただ個人情報の流出は幾度となく起きており、他の情報と組み合わせることで、成り済ましや特定組織の内部情報を狙った「標的型攻撃」に悪用されるリスクがある。[br][br] 情報セキュリティー企業マキナレコードの軍司祐介社長は、情報流出は今後も起きるとして「被害を広げないためにはパスワードを使い回さず、利用するサービスごとに使い分けることが重要」と指摘。さらに「通常のパスワードに加え、生体認証や1回限り使えるワンタイムパスワードを組み合わせる『多要素認証』を積極的に利用し、身を守る意識を高めてほしい」と呼び掛けている。