【参院2選挙】解散占う春決戦火ぶた 与野党双方に不安要素

 参院2選挙を巡る与野党の状況
 参院2選挙を巡る与野党の状況
参院の長野選挙区補欠選挙と広島選挙区再選挙の火ぶたが切られた。同じく25日投開票の衆院北海道2区補選と合わせ、菅義偉首相の衆院解散戦略を占う春の決戦。結果が今後の政権運営を左右するのは必至だ。国政選初陣の首相と、野党は浮沈を懸ける。ただ広島.....
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 参院の長野選挙区補欠選挙と広島選挙区再選挙の火ぶたが切られた。同じく25日投開票の衆院北海道2区補選と合わせ、菅義偉首相の衆院解散戦略を占う春の決戦。結果が今後の政権運営を左右するのは必至だ。国政選初陣の首相と、野党は浮沈を懸ける。ただ広島では与党内に不協和音が響き、長野では野党共闘に乱れが目立つ。双方が不安要素を抱えたまま17日間の選挙戦に突入した。[br][br] ▽逆風[br] 「深くおわびする。信頼回復の選挙だ」。8日朝、広島再選挙での自民候補出陣式。首相に近い山口泰明選対委員長は謝罪から応援演説を始めた。念頭にあったのは、再選挙の原因となった河井案里前参院議員=自民離党=の買収事件だ。[br][br] 与党は衆院選の前哨戦となる3選挙で逆風にさらされる。立憲民主党の羽田雄一郎元国土交通相の急死に伴う長野補選は、立民にとって「弔い合戦」。与党は苦しい戦いだ。北海道は吉川貴盛元農相=同=の鶏卵汚職での議員辞職が発端。広島と共に「昭和をほうふつさせるスキャンダル」(立民の枝野幸男代表)と批判が相次いだ。[br][br] 北海道で早々に不戦敗を決めた首相。保守地盤が厚い広島は「絶対負けられない戦い」(自民幹部)だ。落として「全敗」すれば、無派閥で党内基盤が脆弱ぜいじゃくな首相が窮地に陥るのは確実。「党内に激震が走る。首相では衆院選を戦えないとの大合唱が起き、解散権行使はままならなくなる」(ベテラン)というわけだ。自民総裁任期が9月に迫る中、再選を果たし本格政権を樹立する目標もついえかねない。[br][br] 陣頭に立つのは、県連会長の岸田文雄前政調会長。首相は1日、官邸で同氏に会い「大切な選挙だ」と送り出した。[br][br] ▽絶句[br] ただ首相の心配は尽きない。地元県連と党本部の遺恨が消えないからだ。岸田氏が率いる岸田派にとって広島は、池田勇人元首相らを輩出した牙城。だが前回は党本部が強引に河井前議員を擁立し、官房長官だった菅首相もてこ入れを図った経緯がある。そのあおりで岸田派重鎮が落選。わだかまりを残す岸田派の宮沢洋一県連会長=当時=は3月、「河井陣営を応援した人は今回は来なくていい」と宣告。伝え聞いた首相は「えっ、そんな」と絶句した。[br][br] 隙間風は自民、公明両党間にも吹く。河井前議員の夫・克行元法相の衆院広島3区は公明党が与党候補の座を奪取。憤慨する自民県議は「再選挙で公明の力は不要だ」と言い放った。克行元法相の公判が報じられる広島に入った議員は「『自民は嫌だ』という声が多い」と不安げに漏らした。[br][br] ▽しこり[br] アキレス腱けんを抱えるのは野党も同じだ。 長野選挙区の立民候補が共産党などの県組織と結んだ政策協定に国民民主党が反発し、告示直前まで推薦撤回を検討。最終的に維持したが、しこりが残ったのは否めない。[br][br] 8日に長野入りした立民の福山哲郎幹事長は記者団に「野党が一体となって戦っている状況を示せた」と強調。だが立民内では連携がどこまで機能するのか不安視する向きもある。ベテランは「わが党にとって長野は有力な地盤。敗北はもちろん、辛勝でも枝野氏の求心力低下は免れない」と指摘する。[br][br] 野党は3選挙全てで統一候補を立てた。立民幹部はこうつぶやいた。「衆院選の野党共闘へ弾みがつくか正念場だ」 参院2選挙を巡る与野党の状況