天鐘(4月9日)

キリンは高い木の葉を食べるために首が長くなった。懸命な努力のかいがあって少しずつ首が伸び、その形質が何世代にもわたって遺伝した結果、あんなに首が伸びた…▼1809年、仏国のラマルクが唱えた用不用説。努力で獲得した遺伝子が次代に伝わり、進化を.....
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 キリンは高い木の葉を食べるために首が長くなった。懸命な努力のかいがあって少しずつ首が伸び、その形質が何世代にもわたって遺伝した結果、あんなに首が伸びた…▼1809年、仏国のラマルクが唱えた用不用説。努力で獲得した遺伝子が次代に伝わり、進化を遂げたと考えた。50年後、英国のダーウィンは『種の起源』で、遺伝子が突然変異した結果に過ぎないと唱えた▼葉を食べる「目的」ではなく、変異で親と異質の子が生まれ、たまたま環境に適応し生き残った「結果」こそが進化という突然変異説である。双方、ナチスの優生思想や適者生存説などに歪曲(わいきょく)されて悲劇を生んだ▼キリンの首は複写ミスした遺伝子が淘汰(とうた)されず環境に順応、継承されてきた偶然の産物らしい。新型コロナはそんな変異を高頻度で繰り返して自然淘汰の“狭き門”も潜(くぐ)り抜け、猛者揃(ぞろ)いの変異株に進化した▼関西で猛威を振るう英国型は感染力6割強、南アフリカ型は致死率2割強。東京では経路不明の変異株に置き換わろうとしている。青森県内のクラスターも昨年とは“別次元”の爆発力で変異株の存在が疑われる▼コロナの変異は“環境”に馴染んだ結果で、兆しを見逃して後手に回った政治の責任でもある。こんな緩みなら違う変異株も出現するに違いない。ワクチンの効果も気掛かりだ。専門家は青ざめ「もう別次元のせめぎ合い」と漏らした。