【ワクチン接種】河野氏「供給潤沢」アピール 自治体は迷走を警戒

 ワクチン接種の政府想定と自治体の懸念(似顔 本間康司)
 ワクチン接種の政府想定と自治体の懸念(似顔 本間康司)
新型コロナウイルスワクチンの接種に関して、河野太郎行政改革担当相が供給スケジュールを積極発信するのに対し、自治体側は必ずしも情報を計画に反映していない実態が浮かんだ。「供給は潤沢」とのアピールに、多くの自治体は65歳未満の接種開始の計画を立.....
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 新型コロナウイルスワクチンの接種に関して、河野太郎行政改革担当相が供給スケジュールを積極発信するのに対し、自治体側は必ずしも情報を計画に反映していない実態が浮かんだ。「供給は潤沢」とのアピールに、多くの自治体は65歳未満の接種開始の計画を立てることに慎重な姿勢を崩さない。政府の方針変更が相次ぐ中、情報に振り回されたくないとの警戒感が根強い。[br][br] ▽不信[br] 「ワクチン供給のボトルネックは、解消される」。河野氏は2日の記者会見で、5月下旬までに、3600万人の高齢者の半数に相当する1800万回分以上の数量を自治体に配送できる点を説明した。[br][br] 1週間前の3月26日の会見で示した内容とは違う新たな数字となる。河野氏は「交渉の結果、(ワクチン確保数が)増やせることになった」と自らの役割を誇示した。[br][br] 3月30日には一転、火消しに追われる場面があった。河野氏の下で働く小林史明内閣府大臣補佐官が複数の種類のワクチンによる接種が始まった際、個人が希望するワクチンを選べる可能性に言及。それを「完全に勇み足」と打ち消した。[br][br] 与党議員は、接種に使う注射器でワクチンの入った瓶1本から何人分のワクチンが取れるかで政府の説明が二転三転している点も指摘。「河野氏らの言うことが、ころころ変わり、現場の自治体には不信感が募っているのだろう」と分析した。[br][br] ▽前提[br] 国からの文書通知を「確かな情報」として動いてきた自治体は、今回の情報の出方に戸惑う。厚生労働省が示した内容と違うことを、河野氏が発信したり、厚労省の通知に河野氏の記者会見概要が付記されたりする。首相官邸のワクチン情報ツイッターにも「主に自治体関係者の皆さまへ」として情報発信される。[br][br] 政府方針に基づけば、高齢者の接種は5月から本格化する。京都市は「7月末ごろには終えられる」と答えた。山形市は高齢者は7月中に終了して65歳未満の基礎疾患がある人の接種を開始し、すべての人の接種を10月末にも終わらせるとの工程を示した。いずれもワクチン供給が十分である前提での回答だ。[br][br] ▽お叱り[br] 見通しが立てられないとした宮崎市。担当者は「一番困るのは住民から予約を受けたのに、当日、ワクチンが来ず打てないことだ」と話す。65歳未満の人に接種券(クーポン券)を送ってしまえば、引き返しにくい。厚労省の説明からは「ワクチンが希望通りに配送されないこともあり得る」と判断している。[br][br] 県庁所在地以外でも事情は同じだ。埼玉県戸田市の担当者は厚労省の通知では「配送する」と断定していない点を強調し「『配送する予定』となっており、本当に来るのか不安」と疑心暗鬼だ。[br][br] 焦点は「国のワクチン供給の話は仮定でしかない。米製薬大手ファイザーと話ができていても、本当に欧州連合(EU)が輸出を承認するのか」(長崎市の担当者)だ。コロナの「第4波」にも目を凝らす必要がある。[br][br] 首都圏のある市長は「昨年の10万円を国民に配る事業で、給付が遅いとお叱りを受けたのは、窓口となる自治体だった。そういう目に遭うのはこりごり」と語った。東北地方のある市の担当者も不信感が勝る。「国は最後は『地域の実情に応じて』と丸投げだろう」 ワクチン接種の政府想定と自治体の懸念(似顔 本間康司)