名古屋城、見えぬ木造復元 河村氏構想、停滞あらわ

 名古屋城天守閣木造復元の課題
 名古屋城天守閣木造復元の課題
名古屋市が進める名古屋城天守閣の木造復元は、河村たかし市長が1期目の2009年に打ち出したこだわりの事業だ。史実に沿って江戸時代の姿に再現し「50年後には国宝に」との構想を抱く。だが、有識者や市議会との調整が難航し、完成目標は当初の2020.....
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 名古屋市が進める名古屋城天守閣の木造復元は、河村たかし市長が1期目の2009年に打ち出したこだわりの事業だ。史実に沿って江戸時代の姿に再現し「50年後には国宝に」との構想を抱く。だが、有識者や市議会との調整が難航し、完成目標は当初の2020年から28年ごろまで先延ばしに。停滞があらわになった大事業は、4月の市長選の主要争点となる。[br][br] 「千年後の子どもたちが喜んでくれるものを作る」。1月下旬、河村氏は木造復元に関する市民説明会で意欲を語った。名古屋城の天守は戦災で焼失し、1959年に鉄筋コンクリート製で再建された。近年、老朽化で耐震性確保が必要になり、旧天守の詳細な記録が残っていることから木造復元が持ち上がった。[br][br] 名古屋城は国の特別史跡で、現状変更には文化庁の許可が必要。河村氏が当初掲げた20年完成目標は、市議会の主要会派から「拙速すぎる」との批判が相次ぎ早々に断念。22年末完成の計画に修正したが、歴史的価値のある石垣の保全方法などで有識者との意見がまとまらず、19年に頓挫した。約500億円の事業費の財源確保も課題になっている。[br][br] 河村氏は28年10月ごろの新天守完成の工程案に関し「専門家との意見がまとまれば一気に進む」と強気だ。ただ、忠実な復元のため新天守にエレベーターを設置しない河村氏の方針に対し、障害者団体などが猛反発。バリアフリー化の議論も停滞したままだ。[br][br] 市長選で河村氏の対抗候補として出馬予定の市議横井利明氏は「河村氏個人の趣味とこだわりで計画が進められている」と批判。財源や復元方式、バリアフリーの確保などを明確にして着実に事業を進めると公約に掲げた。 名古屋城天守閣木造復元の課題