相次ぐ不祥事、残る火種 厚労省職員宴会問題

 厚生労働省で相次ぐ失策
 厚生労働省で相次ぐ失策
新型コロナウイルス対策の先頭に立つはずの厚生労働省職員23人が、職場を挙げて深夜に宴会を開いていたことが発覚した。コロナ対策アプリの不具合などに続く不祥事。政府は関係者の早期処分で幕引きを図るが、野党の怒りは収まらない。コロナの感染対策や重.....
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 新型コロナウイルス対策の先頭に立つはずの厚生労働省職員23人が、職場を挙げて深夜に宴会を開いていたことが発覚した。コロナ対策アプリの不具合などに続く不祥事。政府は関係者の早期処分で幕引きを図るが、野党の怒りは収まらない。コロナの感染対策や重要法案の審議への影響は避けられず、火種は残ったままだ。[br][br] ▽送別会[br] 「国民の信用を失墜する行為。言語道断で深くおわびする」。田村憲久厚労相は30日、記者会見に続き、参院厚労委員会でも謝罪を繰り返した。[br][br] 厚労省への週刊誌の取材をきっかけに、田村氏が事実を把握したのは29日夕。介護保険制度を担当する老健局老人保健課の3分の2に当たる職員が24日、東京都による午後9時閉店の要請が続く中、午後11時まで開いている店を選んで宴会を開き、十数人が午前0時近くまで残ったという。[br][br] 国民に感染防止を依頼する立場の厚労省職員の行動を、野党議員は「がくぜんとして言葉がない」と糾弾。宴会は送別会の名目に加え、3年に1度の介護報酬改定に向けた作業を無事に終えた「打ち上げ」の意味もあったという。同省幹部は「誰かが『やめましょう』と言い出せなかったのか」と悔やむ。[br][br] ▽失 策[br] 新型コロナ禍での不適切な会食は、昨年12月に菅義偉首相と自民党の二階俊博幹事長ら計8人が行ったのを皮切りに、批判の的となってきた。[br][br] 今年の緊急事態宣言下では、衆院議員による東京・銀座のクラブ訪問などが相次いで発覚。自民党の4人が離党し、公明党の1人が議員辞職した。こうした不祥事が中央省庁まで広がった形だ。[br][br] 厚労省の失策も止まらない。2月には、コロナ対策のスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」で、陽性者との接触通知が届かない不具合があったと発表。マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みの本格運用も、情報ひも付けの不備により、当初予定の3月下旬から10月に延期された。政府内で多発する法案の条文ミスのうち、厚労省では2月に成立した改正感染症法の法案提出時に誤りがあった。[br][br] ▽攻 勢[br] 政府、与党の度重なる失態に野党は攻勢を強める。立憲民主党は衆院厚労委員会での会食問題の集中審議を要求。政府が重要視する、75歳以上の医療費窓口負担を2割に引き上げる医療制度改革関連法案の審議が遅れかねない状況だ。[br][br] 政府は関係者の処分によって事態の収拾を急ぐが、野党は政府全体の気の緩みを追及していく構えで、思惑通りに進むかは見通せない。立民の安住淳国対委員長は「首相の認識も確認しないといけない」と指摘した。 厚生労働省で相次ぐ失策