【米国ワクチン事情】感染最悪国から一転、世界リードへ

 米ニューヨーク市ブロンクスの薬局で、新型コロナウイルスワクチンの接種前にスマートフォンを使って手続きを行う人たち=16日(共同)
 米ニューヨーク市ブロンクスの薬局で、新型コロナウイルスワクチンの接種前にスマートフォンを使って手続きを行う人たち=16日(共同)
米国で新型コロナウイルスのワクチン接種が加速している。感染状況は世界最悪だが、ワクチン開発と投与で一転世界をリード。総接種回数は1億2千万回を超えた。61歳の共同通信記者も今月中旬、ニューヨーク市で1回目の接種を受けた。現場ではスマートフォ.....
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 米国で新型コロナウイルスのワクチン接種が加速している。感染状況は世界最悪だが、ワクチン開発と投与で一転世界をリード。総接種回数は1億2千万回を超えた。61歳の共同通信記者も今月中旬、ニューヨーク市で1回目の接種を受けた。現場ではスマートフォンでの手続きに困る高齢者らに寄り添う若者の姿が目立った。日本では4月12日から65歳以上の高齢者への優先接種が始まる。[br][br] 「どうやったらいいのか分からない。誰か助けてくれ」。昨年春に感染が爆発的に広がった同市ブロンクス。接種場所となっている薬局前に約20人が列を成す中、70代とみられる男性が途方に暮れていた。[br][br] 市では現在、医療従事者らに加えて60歳以上の住民が一律接種可能となった。男性は手続き時のスマホの操作方法が分からず、近くにいた20代の女性が駆け寄り「教えてあげる」と手を差し伸べた。[br][br] 登録の際、当局から送られてくる6桁の認証番号をスマホに入力する作業などが必要。薬局内の接種ブース前に並んだローズ・オーガスタスさん(63)の横にいためい(23)は「機器が使いこなせないお年寄りは1人では接種にたどり着けない」と説明した。[br][br] カリブ海のドミニカ国出身オーガスタスさんは23年前に米国に移住、以来ブロンクスに暮らし市民権も得た。コロナ禍で家政婦の職を失ったが「ようやく接種できてほっとした」。[br][br] 米国全体で感染者は3千万人に迫り、犠牲者が約54万人に上る。ニューヨーク市の新規感染者はいまだに連日3千~4千人を数え、死者数は3万人に達した。劇場街ブロードウェーは1年以上閉鎖が続き、140軒以上のホテルが休業。街から観光客の姿が消え、経済は大打撃を受けた。薬局内の警備員、ビッキーさん(59)は「つらく長い1年だった」と振り返る。[br][br] 「暗く長いトンネル」の先に明かりをともしているのがワクチンだ。既に全米で必要分の接種を終えた人は約4千万人と人口の約12%を占める。接種拡大とともに航空旅客が急回復するなど明るい兆しが出始めている。[br][br] 記者は米国で接種可能な3種ワクチンのうちファイザー製を注射。別の会場では選べるところもあるようだ。副反応に身構えていたが、これまでのところ異変は感じていない。[br][br] 接種時にもらった「記録カード」を手に薬局内で15分待機していると、目の前にいた80歳前後の女性と目が合った。「接種できてうれしいですか」と聞くとマスクの上の目が笑顔で緩んだ。(ニューヨーク共同) 米ニューヨーク市ブロンクスの薬局で、新型コロナウイルスワクチンの接種前にスマートフォンを使って手続きを行う人たち=16日(共同)