【新聞キャンペーン報道】国際女性デーに合わせ展開 工夫凝らし格差可視化

 「国際女性デー」に合わせ、女性の社会参画や支援について取り上げた新聞各紙。シンボルのミモザのイラストや写真を載せた紙面も見られた
 「国際女性デー」に合わせ、女性の社会参画や支援について取り上げた新聞各紙。シンボルのミモザのイラストや写真を載せた紙面も見られた
女性の権利向上を目指す3月8日の「国際女性デー」に合わせ、新聞各社が展開するキャンペーン報道が広がっている。今年は森喜朗氏の蔑視発言もあって注目を集めた。全国紙、地方紙がそれぞれの目線で工夫を凝らし、日本の深刻なジェンダー不平等を問題提起し.....
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 女性の権利向上を目指す3月8日の「国際女性デー」に合わせ、新聞各社が展開するキャンペーン報道が広がっている。今年は森喜朗氏の蔑視発言もあって注目を集めた。全国紙、地方紙がそれぞれの目線で工夫を凝らし、日本の深刻なジェンダー不平等を問題提起した。専門家は「女性の可能性を阻む現状の多くは放置されている。一過性で終わらせてはいけない」と指摘する。[br][br] 先駆けは、2017年に男女格差を考える企画「Dear Girls」を始めた朝日新聞。スタートの際は広告など編集以外の部門の社員も関わった。20年にはジェンダーを多角的に報じる「Think Gender」に衣替え。取材対象を選ぶ際、性別などの偏りが出ないよう、数値目標を設けた社のジェンダー平等宣言も策定した。[br][br] 地方紙で特に熱心だったのは沖縄の2紙。琉球新報は19年に関連企画を始めた。今年は8日朝刊1面の題字に女性デーのシンボル、黄色いミモザの花をあしらい、女性に配慮した防災計画の有無などを県内41市町村に尋ねたアンケート結果をトップに掲載した。[br][br] 8日は自社を点検し「女性社員34%、管理職20%」と開示した。知花亜美・地方連絡部長は特別評論で「多様性は世論をリードするメディアにこそ必要。社内の変化は紙面の変化につながる」と問題提起した。[br][br] 取り組み2年目の沖縄タイムスは2月9日から約1カ月間、官民で活躍する女性の紹介や、新型コロナウイルス禍で困窮する女性を描く2企画を展開した。[br][br] 「光と影を映し出したかった」と学芸部くらし班の新垣綾子キャップ。女性管理職8人が県内の女性著名人にインタビューした記事は、読者から「互いに積み重ねた経験がにじみ出ていた」と反響があったという。[br][br] 山梨日日新聞は今年から取り組み、2月7日から関連企画の掲載を開始。3月8日は1面トップで県内市町村議会の女性割合が10年前より減ったことを指摘するなど、11ページにわたって展開した。[br][br] 文化・くらし報道部の宮崎大樹デスクは「女性が重要な地位に就くことが珍しくない社会を目指し、地元紙として継続的に身近な話題を取り上げ、共に考えることで関心を高めたい」と話した。[br][br] 大妻女子大の田中東子教授(メディア文化論)は「17年にセクハラ疑惑への抗議から始まった『#me too』運動や、共働き世帯の増加などを背景にジェンダー問題を広く議論する土壌ができた。女性デーの報道も、ムーブメントとして定着した印象だ」と話す。[br][br] 政治家の割合や進学率、年収差といった男女格差は、地方でより顕著だと感じる。「地方紙でこそ、統計やデータを活用して実態を可視化し続けてほしい」と強調した。 「国際女性デー」に合わせ、女性の社会参画や支援について取り上げた新聞各紙。シンボルのミモザのイラストや写真を載せた紙面も見られた