【震災10年・地域と原子力】(4)野﨑尚文大間町長

避難路の整備促進を求める野崎尚文町長
避難路の整備促進を求める野崎尚文町長
―避難路の整備状況について。 大間、風間浦、佐井の3町村でつくる「大間原発三ケ町村協議会」として長年、下北地域広域避難路の整備促進を求めてきた。 3町村を通る国道279号のバイパスについて、青森県は大間町側で農道の延伸を進めている。道幅が狭.....
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 ―避難路の整備状況について。[br] 大間、風間浦、佐井の3町村でつくる「大間原発三ケ町村協議会」として長年、下北地域広域避難路の整備促進を求めてきた。[br][br] 3町村を通る国道279号のバイパスについて、青森県は大間町側で農道の延伸を進めている。道幅が狭いという感じはあるが、まずは開通させ、後に拡幅していくことになればいいと思っている。[br][br] 原子力災害の際、大間原発より南の奥戸(おこっぺ)地区などの住民らが原発の近くを通らずにむつ市方面へ逃げるため必要となる、町の西側を走る国道338号のバイパスも事業化に向けた検討が進められている。[br][br] ―整備完了時期は。[br] 大間原発が運転開始する時までに間に合うかどうかは難しい。できる限り早く整備してほしいという思いはある。[br][br] ―東京電力福島第1原発事故をどう見る。[br] あってはならない、想定外の事故だった。それを肝に銘じた上で、安全・安心を最も大切なことと位置付け、原子力事業を進めていくべきだ。[br][br] 原子力規制委員会による新規制基準の審査は以前のものより厳しくなった。完璧はあり得ないと分かっているが、町としては完璧を望んで、事業者に働き掛けていく。[br][br] ―町の防災体制や避難計画について。[br] 避難道の整備を求めつつ、大間原発の運転開始までに防災体制の構築を十分に進めていかなければならない。ただ、原発の先行きが見えない状況で詳細を詰められない部分がある。福島の事故を教訓にして避難計画などを策定していく。[br][br] ―大間原発は工事開始時期の延期が繰り返されている。[br] 私が町職員になった時は漁業補償が終わった段階で、難航していた用地買収の問題を解決すればいいという状況だった。町民説明会や視察にも携わった。[br][br] 当時は新型転換炉(ATR)が建設されることになっていたが、二転三転してフルMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料用の原発に変わった。バラ色の未来があると信じていた。[br][br] 先が見えないと言われるが、とにかく早く工事を始めてもらわないと、町民の生活が壊れてしまう。見込んでいた税収も入らず、計画通りに建物を造ることもできない。既に原発による交付金は施設の維持管理費などに消え、自由には使えなくなってきている。[br][br] 東通村のように原発完成の遅れを理由として、電源立地地域対策交付金の中で運転開始後の受領が原則のものから一部を前倒しで交付してもらえるよう国に要望することを考えている。避難路の整備促進を求める野崎尚文町長