首都圏4知事、連携にきしみ 緊急宣言延長協議の暴露で火種

 緊急事態宣言の再延長方針を受け、公開で行われた1都3県知事のテレビ会議=5日、都庁
 緊急事態宣言の再延長方針を受け、公開で行われた1都3県知事のテレビ会議=5日、都庁
新型コロナウイルスの緊急事態宣言に関して首都圏1都3県の知事が強調してきた「ワンボイス(声を一つにして)」の連携にきしみが生じている。先週の再延長を巡る協議の際、東京都の小池百合子知事が事実と違う説明をしたと神奈川県の黒岩祐治知事が報道番組.....
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 新型コロナウイルスの緊急事態宣言に関して首都圏1都3県の知事が強調してきた「ワンボイス(声を一つにして)」の連携にきしみが生じている。先週の再延長を巡る協議の際、東京都の小池百合子知事が事実と違う説明をしたと神奈川県の黒岩祐治知事が報道番組で暴露。小池氏の謝罪で事態は沈静化しつつあるが、週明けに再び本格化する解除か3回目の延長かの議論に火種を残した。[br][br] ▽抗議[br][br] 黒岩氏が7日の報道番組で明かしたのは、今月1日から3日にかけての知事間協議の内容。黒岩氏の説明によると、1日に電話してきた小池氏から「延長せざるを得ない」と言われ、黒岩氏は「ちょっと待ってください、もうちょっと数字を見たい」と応じた。[br][br] 翌2日には小池氏から西村康稔経済再生担当相との面談を提案され、要請文の案には宣言の2週間延長が既に記載されていた。驚いた黒岩氏が他の知事の感触を尋ね、小池氏は千葉県の森田健作知事と埼玉県の大野元裕知事も賛成していると説明した。[br][br] だが、黒岩氏が自ら電話で確認した森田氏は「黒岩知事が賛成すると(小池氏側から)聞き、賛成しようとなった」と説明。大野氏も同様に答え、黒岩氏が否定すると驚いていたという。[br][br] 4知事がそろった3日のテレビ会議。黒岩氏は小池氏に「信頼関係が薄れますよ。こういうのはだめだ。おかしい」と抗議。小池氏が「ちょっと先走ってしまってごめんなさい」と謝罪したのを受け「分かりました、じゃあ一緒にやっていきましょう」とその場で矛を収めたという。[br][br] ▽波紋[br][br] この番組放送に波紋が広がり、週明けの8日には火消しの発言が相次いだ。小池氏は報道陣に「やりとりについては準備段階でいろいろある。そういう中で信義則は守っていきたい」と釈明。[br][br] さらに「考え方が幅広い中では、例えば文書のたたき台を作るのはよくある話だ」とした上で「1都3県でコロナ対応を進める効果についての考え方は既に一致している」と強調した。[br][br] 大野氏も「われわれとしては引きずる話でもないし、大切なことは新型感染症をみんなで抑えていくことだ」と述べた。[br][br] ▽蒸し返し[br][br] 1都3県が連携を進めてきた背景には東京を中心とした通勤・通学客の頻繁な往来がある。昨年末以降の感染者急増を受けた1月2日の緊急事態宣言要請は4知事が一枚岩で対応した。だが、現在は感染者の減少傾向や医療提供体制の状況が自治体ごとに異なる。[br][br] 8日時点では東京都、埼玉県、千葉県で病床使用率や療養者数が「ステージ3」相当なのに対し、神奈川県は多くが基準を下回っている。こうした違いが宣言の再延長か解除かに向けたスタンスにも影を落とし、4都県のある自治体関係者は3日のテレビ会議を「言っていることがかなりばらばらだった」と語った。[br][br] 再延長期限となる21日が近づけば、同じ議論の蒸し返しになりかねない。西村氏は8日の記者会見で「誰が主導権を取るとか誰の手柄にするかとかではなく、とにかく4人の知事と国がしっかり連携してコロナを着実に確実に抑えることが大事だ」とくぎを刺した。 緊急事態宣言の再延長方針を受け、公開で行われた1都3県知事のテレビ会議=5日、都庁