【震災10年】あの日どう語り継ぐ 重要性増す防災教育

東日本大震災を機に見直された防災教育。八戸市では小中学校での防災教室や、各家庭への防災ノートの配布などに取り組む(写真はコラージュ)
東日本大震災を機に見直された防災教育。八戸市では小中学校での防災教室や、各家庭への防災ノートの配布などに取り組む(写真はコラージュ)
東北地方に甚大な被害をもたらした東日本大震災を経て、北奥羽地方の教育現場では災害の危険や安全確保の方法などを伝える「防災教育」に力を入れる。一方で10年の月日が流れ、小中学校では今、「震災を知らない」子どもたちが増えている。地震や津波以外で.....
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 東北地方に甚大な被害をもたらした東日本大震災を経て、北奥羽地方の教育現場では災害の危険や安全確保の方法などを伝える「防災教育」に力を入れる。一方で10年の月日が流れ、小中学校では今、「震災を知らない」子どもたちが増えている。地震や津波以外でも自然災害が激甚化する昨今。震災から学んだ教訓を未来にどう生かすのか―。あの日を語り継ぐ重要性が増している。[br][br] 「これだけ高い津波が、これからまた襲ってくるかもしれない」。八戸市立小中野中で9日に行われた防災教室で、青森県防災士会八戸支部の立花悟支部長(57)が、長さ10メートルの模造紙をバスケットゴールにつるし、震災当時に市沿岸部を襲った津波の高さを説明していた。[br][br] 立花支部長は毎年、地域の各校を訪れて、地震から身を守るために必要な備えについて、過去の災害の事例などを交えて、説いてきた。[br][br] この10年で子どもたちの震災に対する受け止めは変わった。当時まだ幼かったり、生まれていなかったりと震災の記憶をとどめていない世代が中心となり、講演では「より分かりやすく、具体的な内容」を心掛ける。[br][br] 記憶は時間とともに薄れる。だが、震災で得た教訓は子や孫の代まで語り継げる。立花支部長は「子どもたちが将来、家庭を持った時に防災意識が備わっていれば、未来の家族を救うこともできる」と教訓を伝え続ける意義を強調する。[br][br] 八戸市教委では2013年、3月11日を「市防災教育の日」に定め、震災を風化させないための取り組みを進めてきた。震災10年を迎える本年度は、より重点的に防災教育を実施するよう通知しており、市内の各小中学校では、当日やその前後に防災教室や避難訓練を予定するなど、学校全体での防災意識の啓発に例年以上に力を入れる。[br][br] 市教委独自の防災教育副読本「防災ノート」の市内全小中学生への配布も震災後に始まった新たな試みだ。児童や生徒に危険を回避するための判断力を身につけてもらうのが狙いで、学年に合わせて3種類用意し、発達段階に応じて災害の恐ろしさや備えについての理解を促す。[br][br] 市教委の担当者は「震災から10年を迎えた後も記憶を風化させないよう、子どもたちに教訓を伝えていきたい」と話す。東日本大震災を機に見直された防災教育。八戸市では小中学校での防災教室や、各家庭への防災ノートの配布などに取り組む(写真はコラージュ)