時評(3月3日)

韓国の文在寅大統領は「三・一独立運動」記念式典の演説で「韓国政府はいつでも日本政府と向き合い、対話する準備ができている」と強調、互いが相手の立場で考えれば「過去の問題もいくらでも賢明に解決できると確信している」と述べた。 過去の問題にとらわ.....
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 韓国の文在寅大統領は「三・一独立運動」記念式典の演説で「韓国政府はいつでも日本政府と向き合い、対話する準備ができている」と強調、互いが相手の立場で考えれば「過去の問題もいくらでも賢明に解決できると確信している」と述べた。[br] 過去の問題にとらわれず、協力関係を進めようという姿勢は歓迎したい。だが「最悪の日韓関係」といわれる現状を打破するには力不足だ。具体的な打開策が示されなかったことは残念だ。[br] 日韓は至急乗り越えなければならない二つの問題に直面している。一つは元徴用工訴訟に関し、原告側が求める強制執行によって日本企業の資産が現金化されることをいかに回避するかだ。もう一つは元慰安婦の女性らへの賠償を日本政府に命じたソウル中央地裁判決にどう対応するかだ。[br] 文大統領は1月の年頭記者会見で、差し押さえ物件の現金化は「望ましくない」とした。また、ソウル中央地裁判決について「困惑した」と述べた。この発言はそれまでの姿勢とは異なるもので評価したい。[br] 文大統領は式典で「われわれが乗り越えなければならない唯一の障害は、時折、過去の問題と未来の問題とを切り離せず、混在させてしまうことで、未来の発展に支障をもたらしていることである」と述べた。だからこそ、二つの問題を早期に解決しなければならない。[br] 二つとも韓国の司法の判断だ。三権分立は司法の判断が絶対ということではなく、三権がチェック・アンド・バランスの役割を果たすことではないだろうか。国際法と相いれない場合は、司法の判断を尊重しながら、行政が打開策を講じることは容認されるのではないか。[br] 解決策は知恵を使えばいろいろあるだろう。徴用工問題では、韓国政府が日本企業に代わって支払い、後に財団などによる被害者支援も可能ではないか。元慰安婦の人たちへの賠償では、日本政府が応じる見通しはないため、韓国内の日本政府の資産処分を求める世論もあるが、それは国際法上できないと表明できるのではないか。[br] また、日本政府も韓国政府の意思表明を受け、対話に乗り出すべきだ。新大使が赴任したのに首相や外相が会わないような対応は賢明でない。韓国を無視するような対応は、韓国の人々の自尊心を傷つけ、関係をさらに悪化させる危険性がある。[br] 「最悪の日韓関係」を打開するため、具体的な解決策を生み出す両政府の対話を促したい。