天鐘(3月3日)

♪あかりをつけましょ ぼんぼりに―と歌い出す『うれしいひなまつり』。河村光陽が作曲し、サトウハチローが作詞した雛(ひな)祭りの定番曲だが、歌詞に数カ所の誤用があるとか▼サトウは弘前市出身の作家佐藤紅緑(こうろく)の長男で、童謡や歌謡曲の作詞.....
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 ♪あかりをつけましょ ぼんぼりに―と歌い出す『うれしいひなまつり』。河村光陽が作曲し、サトウハチローが作詞した雛(ひな)祭りの定番曲だが、歌詞に数カ所の誤用があるとか▼サトウは弘前市出身の作家佐藤紅緑(こうろく)の長男で、童謡や歌謡曲の作詞で知られる。2番で♪お内裏(だいり)様とお雛様―と天皇の男雛と皇后の女雛を歌ったが、実は男女の一対でお内裏様。お雛様は雛壇の全人形を指す▼3番の♪あかいお顔の右大臣―も見た側から右大臣としたが、天皇からの並びでは左大臣になる。誤りに忸怩(じくじ)たる思いを持ち続けていたというが、85年も歌い継がれる愛唱歌で、お雛様も微笑(ほほえ)んでいるに違いない▼今日は桃の節句の雛祭り。雛壇は中国・唐の律令制「左上右下」に倣(なら)って向かって右側が男雛になる。だが、中国での上位は時代でよく変わり、「右に出る者がいない」や「左遷」など右上位の名残も留める▼今は明治に取り入れた右上位の国際儀礼に従い、向かって左が天皇の男雛、右が皇后の女雛が一般的。サミットの席順や五輪のメダル順も右が上。伝統を継ぐ「京雛」は左上位、「関東雛」は右上位が多いという▼八戸市博物館で14日まで、江戸中期の豪勢な「享保雛」や郷土の焼き物「干支(えと)雛」などの雛人形企画展が開かれている。古式ゆかしいお雛様もグローバル化やジェンダー・フリーといった時代の波を潜(くぐ)って今に至っているようだ。