大阪など6府県の緊急事態宣言が今月末で解除される。いずれも飲食店への営業時間短縮要請は続ける見通しだが、拒んでもこれまでと同様に罰則は科されない。新型コロナウイルス対応の改正特別措置法で新設された知事の権限を行使し、罰則付きの「命令」を出す選択肢はあるものの、実務を担う自治体には「あくまでも最後の手段」と消極的な声が根強い。[br][br] ▽例外的[br][br] 改正特措法が定める飲食店などへの要請には(1)緊急事態宣言が出ていなくてもできる「必要な協力の要請」(2)宣言に基づく要請(3)宣言の前後に想定される「まん延防止等重点措置」に基づく要請―の三つがある。[br][br] (2)と(3)に「正当な理由」なく応じなければ、知事はより強い「命令」を出すことができる。命令に違反した場合は行政罰の過料が科される。正当な理由は「休業すれば地域住民の生活維持が困難となる場合」などに限られ、経営状態が悪いことは該当しないとされる。[br][br] 改正特措法は知事に強力な権限を与えたが、6府県を含む緊急事態宣言下の10都府県は、今月13日の改正特措法施行以降も(1)の時短要請を維持したままだった。感染者が減少傾向であることや、飲食店から十分な協力を得られていることなどを理由に、より強制力のある(2)に移行しなかった。宣言下では原則(2)を求めている政府は、現状を「例外的な対応」(内閣官房)と説明する。[br][br] ▽公平性[br][br] 東京都と神奈川県は26日、飲食店に(2)の要請をした。拒まれれば最終的に罰則付きの命令を出す可能性もある。[br][br] ただ、都道府県の担当部署は限られた人員で調査や協力の働き掛けをしなくてはならない。時短要請の対象になる飲食店は大阪府で7万店、愛知県でも3万数千店程度に上るとみられる。手続きを踏んで命令したとしても、要請に応じていないのに見逃されている店と比べ「公平性を欠く」と批判される可能性がある。[br][br] ある自治体の担当者は「どうしても協力してもらえないときにしか使わない『伝家の宝刀』」と表現。別の自治体の担当者は「基本的には命令に至る前に話し合いで解決する」と話す。実際に命令、罰則まで進むケースは極めて少ないとみられる。