在来種「南部太ねぎ」正念場 

地元の児童に南部太ねぎの魅力を伝える杉澤均和さん(右)=25日、南部町沖田面
地元の児童に南部太ねぎの魅力を伝える杉澤均和さん(右)=25日、南部町沖田面
絶滅寸前から復活した南部町の在来種「南部太ねぎ」が正念場を迎えている。一時は全国放送のテレビ番組で取り上げられるなど注目を集めたが、栽培の手間が掛かり、コストに見合った価格で販売し続けるのが難しい状況だ。多い時で10人前後が作付けしていたが.....
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 絶滅寸前から復活した南部町の在来種「南部太ねぎ」が正念場を迎えている。一時は全国放送のテレビ番組で取り上げられるなど注目を集めたが、栽培の手間が掛かり、コストに見合った価格で販売し続けるのが難しい状況だ。多い時で10人前後が作付けしていたが、現在はわずか6人。それでも関係者は「貴重な伝統野菜を未来に伝えたい」と奮起している。[br][br] 太ねぎは大正時代から同町を中心に栽培され、1964年に品種登録された。10~11月に収穫され、市販の長ネギの倍近い太さで、緑の葉の部分まで柔らかく甘みが強いのが特徴。だが、品種改良されていないため栽培が難しく、形がふぞろいで流通にも乗らないため、生産者が減少した。[br][br] 絶滅を防ごうと、地元の青森県立名久井農業高の生徒が2012年、最後の生産者から種を分けてもらい試験栽培を開始。試行錯誤の末に栽培方法を確立し、町内の農家と協力して生産拡大に取り組んだ。[br][br] 相場は2キロで4千円前後と、ネギとしてはかなりの高価格。根強いファンに支えられてきたが、販売先が確保しきれず売り切れない状況もあり、作付けをやめる農家も出てきた。[br][br] さらにコロナ禍が影を落とす。飲食店からの注文数は減少し、PRの場だった同町のイベント「あおもり鍋自慢」や、山形県で開催予定の「全国ねぎサミット」も中止になった。[br][br] ハウス2棟で約1万本を栽培する同町沖田面の杉澤均和さん(39)は「普通の農家はやりたがらないけれど、生徒が頑張って残してくれた太ねぎをなくしたくない」と強調。子どもたちに伝統野菜の魅力を伝える活動にも力を入れる。[br][br] PRと販路拡大を担うNPO法人青森なんぶの達者村の事務局は「魅力ある商品だが、栽培の手間と売りにくさは課題。おいしさを伝え続け、ファンを増やしたい」と話す。地元の児童に南部太ねぎの魅力を伝える杉澤均和さん(右)=25日、南部町沖田面