絵画で人生豊かに 革新的な表現方法を模索/黒澤さん(八戸)

小川芳勇樹さん(右)の絵画教室に通いながら常に自分らしい表現を追い求め、挑戦し続ける黒澤晃一さん=19日、八戸市 
小川芳勇樹さん(右)の絵画教室に通いながら常に自分らしい表現を追い求め、挑戦し続ける黒澤晃一さん=19日、八戸市 
左脚に障害を抱えながらも、絵画の公募展に挑戦し続ける男性がいる。八戸市の黒澤晃一さん(61)だ。かつては不自由さを思い悩むこともあったが、今は障害と前向きに向き合えるようになったという。「できなくなったことを悩むのではなく、できることを見つ.....
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 左脚に障害を抱えながらも、絵画の公募展に挑戦し続ける男性がいる。八戸市の黒澤晃一さん(61)だ。かつては不自由さを思い悩むこともあったが、今は障害と前向きに向き合えるようになったという。「できなくなったことを悩むのではなく、できることを見つけて挑戦していかないとね」。人生をより豊かにするため、絵画を通して「自分らしさ」を表現し続ける。[br][br] 黒澤さんは子供の頃から骨がもろく、打撲や荷重など、健康な骨であれば耐えられるような程度の衝撃でも骨が折れてしまう「病的骨折」で、何度も手術を繰り返してきた。2年前には左脚を骨折し、現在は専用の装具を装着して生活を送っている。[br][br] 病院の事務職員として働いていた2000年に趣味で陶芸を始めたが、あるとき、けがの影響で重いものが運べなくなり、10年以上続けていた趣味を諦めた。「不自由を感じるようになり、陶芸を続けることは難しいと思った」[br][br] 何か生きがいになるものを見つけたい―。そう考えていたところ、16年、たまたま地元の画家小川芳勇樹さんが開く「アトリエ・オガワ絵画教室」の作品展を目にした。どの作品からも作者それぞれの個性があふれていた。何より自由な表現方法に魅了された。すぐに同教室への入会を決意した。[br][br] 56歳にして新たな一歩を踏み出した黒澤さんは、精力的に制作に取り組み、公募展に応募し続けた。「締め切りがあると、かえって生活にメリハリが生まれるし、誰かに評価してもらうことが張り合いになる」と意欲的だ。[br][br] 18年には全国公募展「近代日本美術協会展」に初出展ながらも「一般公募部門」で入選。19年には「第85回記念東光展」「第85回記念旺玄展」「第115回記念太平洋展」の三つの全国的な公募展で入選を果たすなど、多彩なジャンルで結果を残している。[br][br] 20年は「Art to You!第6回東北障がい者芸術全国公募展」に初挑戦。これまでの写実的な風景画とは一線を画した、都市景観をポップアート風に仕上げた「街に光のミサイルが降りそそぐ」で見事入賞した。「今から技術を磨いても、他の作者にはかなわない。それなら、自分らしい新しい表現方法で勝負しなきゃね」と、常に革新的な表現方法を模索する。[br][br] 小川さんも、黒澤さんの意欲的な姿に刺激を受けているといい「誰にもできない表現。これからどんな作品を制作するのか楽しみ」と期待を込める。[br][br] 「できなくなったことで悩むのではなく、できることや、やりたいことを見つけ、自分なりに頑張っていくことが大切なのかな」。黒澤さんの挑戦心はとどまることを知らない。小川芳勇樹さん(右)の絵画教室に通いながら常に自分らしい表現を追い求め、挑戦し続ける黒澤晃一さん=19日、八戸市