天鐘(11月10日)

「初戦で落ちたら寝たふり。2度目で落ちたら死んだふり。3度目で駄目なら本当に死んでしまえ」。随分、乱暴で物騒なな話だが、あの「津軽選挙」に臨む際の“心得”だという▼昔は津軽に限らず、小さな町村の戦いはご多分に漏れず似たようなものだった。ある.....
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 「初戦で落ちたら寝たふり。2度目で落ちたら死んだふり。3度目で駄目なら本当に死んでしまえ」。随分、乱暴で物騒なな話だが、あの「津軽選挙」に臨む際の“心得”だという▼昔は津軽に限らず、小さな町村の戦いはご多分に漏れず似たようなものだった。ある町で3度目の挑戦者による「今度駄目なら…」との“泣き落とし演説”を実際に耳にして驚いた。一族郎党の心得だという▼45年前の旧中里町長選。現職と新人の激戦は小差で現職が勝ったが、開票に不審を抱いた新人支持者が開票所に雪崩(なだ)れ込んだ。投票箱が壊され票が花吹雪のように舞った。裏面史に残る「開票所乱入事件」である▼群衆に囲まれた選管委員長は再選挙を約束するが、県選管は拒否。困った委員長は失踪した。機動隊が出動してやっと現職に当選証書が渡った。隣近所の反目も怖いが、銃を持った大国の分断は戦争に繋(つな)がる▼接戦の米国大統領選は民主党のバイデン氏が勝利を宣言した。指名争いを含めて3度目の正直。「分断から団結」を約束して政権発足の準備を始めた。一方、共和党トランプ氏はなお訴訟による徹底抗戦の構えだ▼さすがにスタッフには諦めの色が濃く、「死んだふり状態」とか。「今は傷を癒やす時」と差し伸べられる手を握るのはいつ? 民主主義を守る難しさを教えられた。いずれ折れた骨は強くなる。それが米国の強さなのかも。