時評(7月20日)

青森県内の小中学校で、インターネットを活用した教育の実践に向け、パソコンやタブレットなどの端末について、児童生徒に1人1台を配備する準備が進んでいる。ただ、具体的な利活用の方法は決まっておらず、機器の導入が先行。ネットを利用する際のモラルの.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 青森県内の小中学校で、インターネットを活用した教育の実践に向け、パソコンやタブレットなどの端末について、児童生徒に1人1台を配備する準備が進んでいる。ただ、具体的な利活用の方法は決まっておらず、機器の導入が先行。ネットを利用する際のモラルの浸透、各家庭のネット環境の整備など課題も多く、しっかりとした対策が必要だ。[br] 端末の導入は、政府が進める「GIGA(ギガ)スクール構想」の一環。市町村が端末を購入する際、国が経費を補助する仕組みで、県内の多くの自治体が本年度中の導入を目指している。[br] 端末は校舎内での利用を原則とするが、新型コロナウイルスなど感染症対策で休校措置が取られた場合は、自宅に持ち帰ることも想定している。スマートフォンなどを持ち歩く高校生であれば、ネットを利用する際の注意点をある程度は認識しているものの、小中学生は多くが扱いに慣れているとは言い難く、さまざまな問題が浮上する可能性がある。[br] 特に心配なのは有害サイトへの接続、会員制交流サイト(SNS)内でのいじめなどだ。有害サイトへの接続は機器の設定などで防ぐこともできるが、動画投稿サイトの閲覧やSNS内の会話のやりとりなど、全てを監視するには限界がある。ルールを明確にした上で、家庭の協力も得ながらモラルの浸透を図りたい。[br] 自宅のネット環境も課題となる。接続機器の貸し出しや、公民館など公的機関に出向いての利用が検討されているが、対応が白紙の自治体も多い。子どもたちに不平等が生じないような対策が求められよう。[br] 教育現場では、現行のパソコン授業の延長線上でなく、通信機能などを生かした積極的な活用を期待したい。[br] 例えば児童生徒が端末を使って課題に取り組む際、疑問や質問にリアルタイムで答えてくれるシステムがあれば、学習意欲が高まるはずだ。民間の教材を活用してもいいだろう。使い方を工夫して、質も量も向上した教育を提供したい。[br] もちろん、端末を最大限に生かすためには、指導マニュアルの作成、教員の習熟に向けた研修が欠かせない。端末に詳しい専門員の派遣といった支援も重要だ。[br] 端末の価格は数万円で、多額の税金を投入する一大事業である。“コロナ後”も見据えた中長期的な視点で捉え、新たな教育に取り組む転機にすべきだ。