天鐘(7月11日)

手早く用事を済ませるつもりが1時間以上もかかった。梅雨の中休み、気温は30度に満たないものの、夏本番を前に日差しが強い。車のドアを開け、熱風に顔を背ける。うっかりしていた。ペットボトルがゆがんでいる▼運転席近くに置き忘れた。ひときわ分厚いの.....
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 手早く用事を済ませるつもりが1時間以上もかかった。梅雨の中休み、気温は30度に満たないものの、夏本番を前に日差しが強い。車のドアを開け、熱風に顔を背ける。うっかりしていた。ペットボトルがゆがんでいる▼運転席近くに置き忘れた。ひときわ分厚いのに底が変形している。収れん火災の一歩手前だったのか。虫眼鏡で光を集めて火をおこす、あの理科の実験と同じ原理。身近に潜む危険に冷や汗をかく▼エンジン停止から30分、25度の車内温度は45度に急上昇。直射日光が当たるダッシュボードは最高で80度に迫った。猛威を裏付ける数値である。炎天下での調査結果を日本自動車連盟(JAF)がサイトで公開している▼スマートフォンやパソコンが使えなくなるのは、熱で回路が破壊されたから。ガスの臭いが充満するのは、使い捨てライターに亀裂が入ったから。そこから破裂、爆発、発火…。大惨事につながることもある▼今年から消毒用アルコールを常備した方も多いはず。「withコロナ」の生活必需品も、濃度が60%を超えれば消防法上の危険物。高温になると可燃性の蒸気がこもる。火気と換気に注意を払いたい▼熱中症のリスクは言わずもがな。わずか15分で幼子は命の危機に直面する。ひと頃より減っても、悲しい事故が後を絶たない。「すぐ戻るつもりだった…」。繰り返される言い訳は、もう聞きたくない。