時評(6月27日)

韓国と北朝鮮が戦った朝鮮戦争の開戦から70年を迎えた中、南北関係が緊張している。積み重ねられてきた南北の和解と協力関係が崩れ、対立の時代に逆戻りしようとしている。 北朝鮮は南北融和の象徴だった南北共同連絡事務所を爆破した。軍事行動の展開も発.....
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 韓国と北朝鮮が戦った朝鮮戦争の開戦から70年を迎えた中、南北関係が緊張している。積み重ねられてきた南北の和解と協力関係が崩れ、対立の時代に逆戻りしようとしている。[br] 北朝鮮は南北融和の象徴だった南北共同連絡事務所を爆破した。軍事行動の展開も発表した。きっかけは韓国の脱北者団体が北朝鮮体制を批判するビラを散布したことで、北朝鮮はこれに対し報復を予告し、爆破に踏み切った。北朝鮮メディアは、爆破の映像を詳細に報道し、世界に見せつけた。北朝鮮は対立の時代に逆戻りするような挑発行為をやめるべきだ。[br] 南北を分断する軍事境界線に近い北朝鮮側の開城にある共同連絡事務所は、2018年4月の南北首脳会談での合意で設置された。首脳会談で署名した板門店宣言で「当局間協議を緊密にし、民間交流と協力を円満に進めるため双方の当局者が常駐する」としていた。[br] さらに北朝鮮軍は、開城と金剛山への部隊展開や、前線地帯での軍事訓練など4項目の行動計画を発表した。[br] 朝鮮労働党中央軍事委員会の予備会議では、こうした韓国に対する軍事行動計画を保留した。だが暫定的決定の形を取ることで再び実行に転じる余地も残している。[br] 北朝鮮の挑発は、南北融和を掲げてきた韓国の文在寅政権を揺さぶる狙いとみられる。韓国は軍事的な挑発には厳しく対処するとしている。一方で、文大統領は朝鮮戦争の開戦から70年の25日、「世界史で最も悲しい戦争を終わらせるための努力に、北朝鮮も大胆に乗り出すことを望む」と呼び掛けた。[br] 北朝鮮の挑発は、2000年6月の初の南北首脳会談から20年間にわたり南北間で進められてきた和解と協力の道を台無しにしてしまう。国際社会からの非難も相次いでいる。[br] 挑発行為に出る北朝鮮には焦りが見て取れる。国連安全保障理事会の制裁が続いており、経済が疲弊しているためだ。[br] 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長はトランプ米大統領と3回の首脳会談を行ったが、制裁解除などの実質的な成果は得られなかった。そしてコロナ禍が北朝鮮の経済の悪化に追い打ちをかけているのだ。[br] 北朝鮮の挑発の狙いは、韓国への揺さぶりを通じ、今秋の米大統領選を前に、米朝交渉再開にもっていくことだろう。[br] 朝鮮半島の緊張は日本にもさまざまな影響を及ぼす。日本は、米韓と協力し緊張緩和の対応を取っていくべきだ。