天鐘(6月27日)

沖縄の基地問題の現状について語るとき、よく持ち出される表現がある。「国土の0・6%の面積に、在日米軍関連施設全体の約7割が集中する」。その過密さを端的に表している▼意識して計算することもないが、改めて考えてみれば、こちらも相当なものだと気づ.....
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 沖縄の基地問題の現状について語るとき、よく持ち出される表現がある。「国土の0・6%の面積に、在日米軍関連施設全体の約7割が集中する」。その過密さを端的に表している▼意識して計算することもないが、改めて考えてみれば、こちらも相当なものだと気づく。面積の割合は沖縄と同じ0・6%。そこに全国の人口の1割強が住んでいる過密都市・東京である▼3日前55人、一昨日48人、昨日54人と、このところ新型ウイルスの新規感染者が都内でじわりと増えている。緊急事態宣言の解除から1カ月。専門家の評価は「かなり深刻」で、第2波への警戒感も出始めているらしい▼隣の席と肩が触れ合うような造りの居酒屋なども都内には多い。もとより限られたスペースに人間があふれている土地である。こうした環境で感染防止と経済を並走させることの難しさを改めて思う▼良くも悪くも、政治と経済はこの地に集中する。東京がくしゃみをすれば地方は飛沫(ひまつ)を浴びる関係だ。遠くから気にするしかない大都会の状況。今もどこかに潜むウイルスは、一極集中の危うさ、怖さを教えている▼意外だが、明治半ばの人口最多は新潟県だった。米どころの活力と北前船による経済力が支えた。特性を生かせば地方も輝く。首都機能移転や地方創生。なかなか描けぬこの国の未来だが、その議論の契機になるかもしれない今回のコロナである。