時評(6月26日)

コロナ禍による売り上げ減少のため中小企業の経営悪化が目立つ中、信用金庫、信用組合といった地域に密着した中小金融機関の役割が重要になっている。 地域金融は利益を重視するメガバンクと異なり、地元の企業や地域社会との共存共栄を目指しており、業績悪.....
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 コロナ禍による売り上げ減少のため中小企業の経営悪化が目立つ中、信用金庫、信用組合といった地域に密着した中小金融機関の役割が重要になっている。[br] 地域金融は利益を重視するメガバンクと異なり、地元の企業や地域社会との共存共栄を目指しており、業績悪化で先行きの見通しが立てにくい今こそ、中小企業に対して親身になって経営相談に応じるなど適切な支援をすべきだ。[br] これまで信用金庫、信用組合の中だけのネットワークを使った支援はあったが、コロナ禍で地元企業が苦しんでいるため、信金、信組を含めた地域の金融機関が行政と一緒になって支援する方式が芽生えてきている。[br] 地域の金融機関が加盟している「ちいきん会」と呼ばれる横断的組織が行っているもので、5月には金融庁や神奈川県などが県内の中小企業支援策を話し合った。その結果、同県がサポートするテークアウトやデリバリーを行う飲食店を地域の金融機関が集約し、県がチラシを作成し家庭などに直接配布する支援につながった。[br] 中小企業が対象となっている持続化給付金の申請に際して、前年との売り上げ比較で減少を証明するには自治体が発行する証明書類が必要になるため、この手続きに時間がかかることが批判されている。[br] 中小企業は早く支給してもらいたいため、「ちいきん会」が自治体から証明を取ってくる業務を代行している。[br] 福島県は首都圏の副業人材と県内企業をマッチングする事業を進めているが、コロナ禍で求人企業への説明会を開催できないという相談が「ちいきん会」に寄せられた。[br] これを受けて6月、金融庁と東北財務局が地方銀行、信金、信組を対象としたオンラインの「副業・兼業人材セミナー」を主催した。非対面でインターネットを通じてどこからでも参加でき、このセミナーはほかにも広がろうとしている。[br] 売り上げ拡大、人材活用、申請手続き代行など地元企業にとって喫緊の課題をこうした形で支援できれば、企業だけではできなかった幅広い成果が期待できる。地方銀行、信金、信組など地域の金融機関は互いに競争相手になりやすい。[br] しかし、コロナ禍では金融機関は、企業支援や互いの省力化を目的として連携し、コロナ禍に負けないように地域活性化のために知恵を出していくべきだ。金融機関同士、自治体と金融機関との対話を深化させる余地がある。