天鐘(6月26日)

「改革なくして成長なし」。19年前になるが、当時の小泉純一郎首相が「構造改革」を提唱した際のスローガンだ。不服を唱えれば「抵抗勢力」のレッテルが張られた▼所信を表明する際、彼はダーウィンの“進化論”を引用して「この世に生き残れるのは最も強い.....
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 「改革なくして成長なし」。19年前になるが、当時の小泉純一郎首相が「構造改革」を提唱した際のスローガンだ。不服を唱えれば「抵抗勢力」のレッテルが張られた▼所信を表明する際、彼はダーウィンの“進化論”を引用して「この世に生き残れるのは最も強い者でも、最も賢い者でもない。それは変化に対応できる者だ」と演説。実(まこと)しやかな学説で国会と国民を唸(うな)らせた▼新自由主義を標榜(ひょうぼう)、「官から民へ」と一定の結果は残したが、不良債権の処理では国土が二束三文の外貨で買い叩(たた)かれ、多くの非正規社員も誕生。自己責任の下に弱者が切り捨てられ、深刻な生活格差も生まれた▼バブル崩壊による混乱の中とは言え、功罪の罪がなお残る。今になれば「進化とは方向性を持たない変化で事の善し悪(あ)しではない」(千葉聡『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語』)と分かるが―▼自民党がウエブ発信中の4コマ漫画“ダーウィンの進化論”に批判が殺到している。「変化できる者だけが生き残れる」と結論、憲法改正を煽(あお)る。変化(改憲)できない者は“絶滅”しかねないような論理展開だ▼進化論は著者の意に反して優生学に誤用され、ナチのユダヤ人虐殺にも繋(つな)がった。「適応は結果で意図して変えることは出来ない」(同)はずなのに改革好きが後を絶たない。それほど変化が好きなら「まずは総理を変えてみたら」の声も。