拡大を続ける新型コロナウイルス感染症の影響が、北奥羽地方のスポーツ現場を直撃している。各種競技大会が軒並み中止や延期を余儀なくされているだけでなく、地域の体育施設の利用制限などで日々の練習すら満足にできないアスリートもいる。終息時期が見通せない中で、現場は対応に苦慮していることだろう。[br] 春。例年ならプロ野球やサッカーJリーグなどが開幕し、バスケットボールはBリーグでプレーオフを巡る争いが激しさを増す。春休み期間中は小中高校生の全国大会が予定され、競技によっては夏場の大舞台に向けた始動の時期となる。[br] だが、感染症が状況を大きく変えた。B2青森ワッツがリーグ戦13試合を残してシーズン打ち切りとなった。J3ヴァンラーレ八戸は3月中旬の開幕予定が大幅にずれ込んでいる。運営会社にとっては計画通りに興行できないことで、経営への影響は避けられない。[br] 子どもたちも、青森県立八戸西高の女子テニス部や県立八戸工高の男子卓球部などが、久々に出場予定だった全国高校選抜大会の舞台を経験できなかった。ミニバスケットボールの全国大会男子に初出場する予定だった倉石スポーツ少年団(五戸町)も晴れ舞台が幻に。主力の6年生にとっては苦楽を共にしてきた仲間と臨む集大成の舞台となるはずだった。[br] 今後の見通しも明るくはない。3人制バスケのプロリーグ「3x3プレミアリーグ」の八戸ダイムは、5月中旬だった開幕戦について1カ月以上の延期が決定。ヴァンラーレも、現時点で5月中旬以降とされる開幕戦の日程が宙に浮いたままだ。[br] 休校が明けて部活動を再開した中学や高校もあるが、5月にかけての地区、県内大会の大半は中止が決定。6月の県高校総体や地区中学校体育大会、7月の県高校野球選手権など、注目度の高い大会は結論が出ていないが、感染拡大の状況や後に続く上位大会の動向次第では、延期や中止となる可能性も否定できない。[br] 努力の成果を試す場が次々と失われている現状に、アスリートがショックや不満を抱いてもおかしくない。特に各学校の最高学年の児童・生徒ほど、その思いは強いだろう。[br] それでも、各競技のアスリートは十分な感染症予防対策を講じた上で、少しでも希望を持って活動したい。仮に目標の大会が中止になっても、それまでに流した汗は、長い人生の中で無駄にはならない。