十和田市の認知症グループホームで確認された新型コロナウイルスの感染者が11日、入居者と施設職員合わせて計9人となった。青森県は、施設内でクラスター(感染者集団)が発生したと判断。重症化のリスクが特に高いとされる高齢者施設で起きた集団感染に、地域住民には衝撃が広がるとともに、「なんとか感染拡大を防いでほしい」と願う声が聞かれた。[br] 「まさか十和田でクラスターが起きるとは…」。同市の介護施設で働く女性(35)は驚きを隠せない様子。八戸市で県内初の感染者が確認されて以降、「いつかは十和田でも」と覚悟していたが、急速な増加に危機感が募る。「一施設内のこととはいえ怖い。なんとか封じ込めてほしい」と願った。[br] 八戸市の会社員男性(51)は「ニュースで知ったクラスターという言葉が、身近で現実のものになるなんて」と絶句。「十和田に限ったことではない。全員で感染拡大を食い止めないと」と警戒心を強めた。[br] 感染が確認された施設の周辺に住む十和田市の自営業女性(38)は、感染の不安から、日頃使っているドラッグストアやコンビニの利用を避けているといい、「行政は感染者の行動履歴など、もっと詳細に情報を出すべきだ」と訴えた。[br] 七戸町の飲食店経営の男性(43)は「(感染は)施設内だけで収まらないのでは」と懸念する。自身の飲食店は、他市町村からの客が多いため、11日は急きょ休業にした。当面は週末の営業を自粛する方針だという。[br] 県内の高齢者施設も一層、神経をとがらせている。八戸市内のある施設長は「入居者と職員を守るためにどうすればよいか、毎日緊張している」と苦しい心境を吐露した。