天鐘(3月4日)

春になって道が乾けば始まる部活のランニング。1日の東京マラソンで、大迫傑(すぐる)選手が脇腹を押さえながら激走、自身の日本記録を更新した。テレビで闘志溢れる走りに見入っていたら、あの耐え難いお腹の疼(うず)きを思い出した▼37キロ付近でしき.....
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 春になって道が乾けば始まる部活のランニング。1日の東京マラソンで、大迫傑(すぐる)選手が脇腹を押さえながら激走、自身の日本記録を更新した。テレビで闘志溢れる走りに見入っていたら、あの耐え難いお腹の疼(うず)きを思い出した▼37キロ付近でしきりに右脇腹を押さえて疝痛(せんつう)と闘っていたが、その後の走りの方がむしろ軽快にさえ見えた。レース後、大迫選手は「いつものパターンで痛み出したので落ち着いて対策を考えた」と述べている▼順位と記録に加えて痛みとの闘いだ。ピッチを上げるほど痛みは増すはずだが、全く意に介さず余力を爆発させた。涙のゴールは荷物の重さを物語っていた。素人が音を上げる苦痛など物の数ではないかのように▼NHK『チコちゃんに叱られる!』によると腹痛の原因は内臓が左右非対称だから。走って痛むのは右脇腹で、振動で横隔膜と肝臓を繋ぐ靱帯(じんたい)が引っ張られるからだ▼対策はまず腹筋の鍛錬。痛み出したら肋骨(ろっこつ)下から臍(へそ)周辺の筋膜を揉みほぐす“施術”が効果的。左脇腹なら大腸で膨張するガスのせいで、肋骨の左下を指で押すか、左腕を挙げて腸の通りを広げると痛みは和らぐ▼彼には腹痛は織り込み済みで本当の敵は重圧だった。プロの意地ではね除けたが、東京五輪の切符はさらに来週の「びわ湖毎日」に先送りだ。念願の五輪開催には新型肺炎が立ち塞(ふさ)がる。何とも長く過酷なマラソンである。