【連載・青銀・みち銀 巨大地銀誕生へ】(上)「温度差」

会見に臨む成田晋頭取(左)と藤澤貴之頭取=14日、青森市
会見に臨む成田晋頭取(左)と藤澤貴之頭取=14日、青森市
14日午後5時。青森市のリンクステーションホール青森の大会議室。 青森銀行の成田晋頭取とみちのく銀行の藤澤貴之頭取は、報道陣から無数のフラッシュを浴びる中、声を張り上げて経営統合協議入りの基本合意を発表した。 「地域にとって最良の選択」(成.....
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 14日午後5時。青森市のリンクステーションホール青森の大会議室。[br][br] 青森銀行の成田晋頭取とみちのく銀行の藤澤貴之頭取は、報道陣から無数のフラッシュを浴びる中、声を張り上げて経営統合協議入りの基本合意を発表した。[br][br] 「地域にとって最良の選択」(成田頭取)、「新たな歴史の第一歩を踏み出す」(藤澤頭取)[br][br] 会見後にはバックに金びょうぶ、その下には赤いじゅうたんが敷かれ、祝福ムードが演出された会場で、肘タッチ。大きな決断に踏み切った両トップの表情は高揚感にあふれていた。[br][br]   ◇   ◇[br][br] “水と油”とも称される両行の関係に地殻変動が起きたのは2年前。2019年10月に「包括的連携の検討開始」を発表し、現金自動預払機(ATM)の利用手数料の相互無料化が実現した。[br][br] 20年9月には経営統合案が浮上した。両行は否定したが、直前に菅義偉首相(当時官房長官)が「地銀の数は多過ぎる」と発言したことで再編の風は強まっており、次第に外堀は埋まっていった。[br][br] 「報道が後押ししてくれたかもしれない」。会見で藤澤頭取は冗談交じりに話し、「(成田頭取と)いろんな話をする中で、自然発生的にこのような形になった」と明かした。[br][br] 両行は収益環境が悪化する中、経営統合で基盤を強化し、金融サービスの維持向上を目指す。だが、競合関係だった組織の融和は簡単ではない。[br][br] 持ち株会社設立やその先の合併に向け、意欲的な両頭取の姿勢とは対照的に、現場からは早くも戸惑いの声が漏れる。[br][br] 青銀の男性行員は「ライバルから仲間には簡単にはなれない」ときっぱり。「給料などに違いもあり、あおりを食らいたくないのが本音だ」と続けた。[br][br] 一方、みち銀の中堅行員は「店舗の統廃合が進めば、いずれは中高年以上の世代が人員整理の対象になるだろう」と先行きへの不安を明かした。[br][br]   ◇    ◇ [br][br] 規模が似通っているとはいえ、総資産は青銀がみち銀を1兆円以上上回る約3・7兆円を保有。何より、みち銀は200億円の公的資金の返済を抱えている。[br][br] 会見で「対等合併になるのか」と問われた成田頭取は「客観的な数字の評価があり、単なるイコールとはならない」と答え、青森県内トップ銀行の経営者として自負をにじませた。[br][br] 「対等」の理念を掲げて、両行は協議に臨む。システムや組織体制、人事、行内ルール…。擦り合わせなければならない項目は無数にある。そこに現在の経営状況が反映されるのは間違いない。成田頭取の発言は、青銀に主導権があると示唆しているようにも聞こえる。[br][br] あるみち銀幹部は「公的資金があることで救済のイメージが付いてしまう」と先行きを懸念する。[br][br]   ■    ■[br][br] 長年、ライバル行としてしのぎを削ってきた青森銀行とみちのく銀行が合併に向けて手を取り合った。異例の決断に至った背景や地域経済に与える影響を探る。会見に臨む成田晋頭取(左)と藤澤貴之頭取=14日、青森市