寂聴さん、白寿で一句 「寂庵」のボタン詠む

 寂庵の庭の前にたたずむ瀬戸内寂聴さん(左)と秘書瀬尾まなほさんの息子=4月(瀬尾さん撮影)
 寂庵の庭の前にたたずむ瀬戸内寂聴さん(左)と秘書瀬尾まなほさんの息子=4月(瀬尾さん撮影)
二戸市にある天台寺の名誉住職で作家の瀬戸内寂聴さんが15日、99歳の誕生日を迎えた。新型コロナウイルス禍で訪れる人もいなくなった京都・嵯峨野の自坊「寂庵」で暮らす寂聴さんは、白寿の節目を前に共同通信に新作の俳句を寄せた。〈奥嵯峨や庵主白寿の.....
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 二戸市にある天台寺の名誉住職で作家の瀬戸内寂聴さんが15日、99歳の誕生日を迎えた。新型コロナウイルス禍で訪れる人もいなくなった京都・嵯峨野の自坊「寂庵」で暮らす寂聴さんは、白寿の節目を前に共同通信に新作の俳句を寄せた。[br][br]〈奥嵯峨や庵主白寿の白牡丹〉[br][br] 「自分が白寿というのはピンとこないわね。わがままに生きてきましたし長生きしたいとも思ってませんでしたから」。電話取材で白寿を迎える心境を問われると「照れくさいわよ」と笑った。[br][br] 2018年に句集「ひとり」で星野立子賞を受賞するなど俳句でも高く評価されてきた。今回詠んだのは、寂聴さんの誕生日が近づくころ、寂庵の庭で白や赤の花を咲かせるボタンだ。「赤いボタンは華やかでいいけど、こんな時はきれいなハクボタンが似合いますね」[br][br] 寂庵で毎月開かれていた法話や写経の会はコロナ禍で休止が続く。作家仲間や編集者らが訪ねることもない。「人が好きだから、やっぱり好きな人とは会いたいですよね」とぽつり。「誰とも会えない、お互いを訪ねられないんですものね。こんなことは100年生きてて初めてです」[br][br] 昨年、夜中に転倒して入院して以来、秘書の瀬尾まなほさん(33)らスタッフが交代で泊まり込むようになった。毎日2食、肉と魚と野菜の食事を取り、日本酒も1合から2合弱飲むという。週刊誌や文芸誌の連載を抱え、本を読み、執筆する日常は変わらない。「小説家は孤独でなければ書けません。仮にも芸術家だと思うなら孤独を幸いだと思わないとね」。100歳に向け、これからも執筆の日々が続く。 寂庵の庭の前にたたずむ瀬戸内寂聴さん(左)と秘書瀬尾まなほさんの息子=4月(瀬尾さん撮影)