天鐘(5月15日)

「魚を与えるのでなく、釣り方を教えよ」。飢えに苦しむ人に魚をあげるのは、一時しのぎにすぎない。自分で捕れるようになれば、生きる術となる。目先にとらわれず、問題の根本的解決を―。そんな含意がある▼中国の哲学者・老子の教え、ユダヤのことわざとも.....
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 「魚を与えるのでなく、釣り方を教えよ」。飢えに苦しむ人に魚をあげるのは、一時しのぎにすぎない。自分で捕れるようになれば、生きる術となる。目先にとらわれず、問題の根本的解決を―。そんな含意がある▼中国の哲学者・老子の教え、ユダヤのことわざとも。原拠は定かでないが、的を射ているから世界に流布したのだろう。安易に解を与えず、未来を切り拓く力を育む。教育論の本質として語られることも多い▼バングラデシュの独立は半世紀前。農村部の貧困層は高利貸の搾取に苦しんでいた。低所得、無資産ゆえの悪循環。経済的自立を促すべく、支援に乗り出したのが「グラミン銀行」。無担保の小口融資を始める▼生活改善も奨励し、仕事への意欲を引き出した。「人は生まれつきの起業家である」。発想はあの格言にも通じる。2006年にノーベル平和賞。貧困問題はいまだ根深いが、社会的課題に挑んだ功績は大きい▼青森、みちのく両行の統合協議入りは、やはり政治主導が色濃いようだ。独禁法の適用除外、当座預金残高への金利上乗せ。異例の支援策は、特例債の“アメ”を推進力とした平成の市町村合併を思わせる▼地方の疲弊が続く。銀行の厳しい経営環境の元をたどれば、国の経済政策に行き着く。異次元の金融緩和しかり。加速する地銀再編は有益なのか。よもや利用者が政治のツケを払うのではあるまい。