【無人機の威力】世界の軍事バランス激変も 調達、開発に各国しのぎ

 軍用無人機が使われた主な国
 軍用無人機が使われた主な国
米国がアフガニスタンなどで過激派掃討に多用してきた軍事用の無人機(UAV)が地域紛争に使われるケースが増えている。戦闘機より安価で味方の人的損害なく敵の正規軍に大打撃を与えられるため、各国は調達や開発にしのぎを削る。世界の軍事バランスが激変.....
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 米国がアフガニスタンなどで過激派掃討に多用してきた軍事用の無人機(UAV)が地域紛争に使われるケースが増えている。戦闘機より安価で味方の人的損害なく敵の正規軍に大打撃を与えられるため、各国は調達や開発にしのぎを削る。世界の軍事バランスが激変する可能性もある。[br][br] 無人機の威力を見せつけたのがナゴルノカラバフを巡る昨年9~11月のアルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突だ。アゼルバイジャン軍は自国領内にある係争地ナゴルノカラバフと周辺に展開するアルメニア側部隊を圧倒。過去に占領された領土の大部分を奪還した。[br][br] この時アルメニア側の200以上の戦闘車両を破壊した主役がトルコ製無人機バイラクタルTB2や、自爆攻撃に使われ「カミカゼ・ドローン」の異名を持つイスラエル製のハロップだった。[br][br] ▽紛争国に波紋[br] アルメニアと関係が深いロシアのラブロフ外相は先月、対立するウクライナにトルコが無人機48機を売却する計画について「熟慮を勧める」と述べ、暗に中止を求めた。[br][br] ロシアは親ロシア勢力が実効支配するウクライナ東部の紛争に同国政府軍が無人機を投入することを懸念する。だがトルコ外交筋は「全ての国に無人機を売る用意がある。ロシアにもだ」と述べ、圧力をはねつけた。[br][br] 激化する米中対立を背景に米国務省は昨年11月、台湾への無人機MQ9Bの売却を承認したと発表。中国側は強く反発、撤回を要求した。[br][br] 米国は2001年の中枢同時テロ後、アフガンなどでの対テロ作戦に無人機を投入。オバマ政権下で使用が拡大した。さらに中国、トルコなどが軍用無人機市場に参入。技術流出を恐れ輸出に慎重な米国と違い、輸出に積極的で価格も安い。[br][br] 米国製の最新鋭戦闘機F35は1機1億ドル(約109億円)前後とされるが、英紙ガーディアンによると米国の最新型無人機は推定2千万ドル、バイラクタルTB2は200万~100万ドルだ。[br][br] ▽武装勢力も多用[br] リビアやイエメンの内戦では非正規軍が無人機を多用。イエメン内戦に介入するサウジアラビアは敵対する親イラン武装組織フーシ派からとみられる石油施設や空港への無人機攻撃に手を焼く。[br][br] ハロップの製造元は今年2月、複数のアジアの国と売却契約を結んだと発表。軍用無人機導入は拡大の一途だ。[br][br] 新型機の開発も進む。タス通信は4月、ロシア企業がハイブリッドエンジンを搭載した世界初の小型無人機を開発したと報道。静音で飛行し、攻撃対象を識別する人工知能(AI)も備える。[br][br] 「貧しい国も強い空軍力を簡単に買えるようになり、米軍が圧倒的な制空権を握るのは難しくなった。陸軍はずっと弱い敵国の無人機攻撃を避ける手段を考えなければならない」。軍事専門家スコット・ショー氏は米外交誌フォーリン・ポリシー電子版でこう述べ、無人機普及が戦争の在り方を変えると指摘した。 軍用無人機が使われた主な国