天鐘(5月4日)

日差しが力強さを増してくると思い出す記憶がある。小学生の頃、友達と一緒に毎日のように草野球をした。駆け回ったのは近くの牧草地。ふわりと若草の匂いがした▼今は野球はテレビで見るだけになった。メジャーリーグの美しい天然芝に、ふとあの頃を思う時が.....
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 日差しが力強さを増してくると思い出す記憶がある。小学生の頃、友達と一緒に毎日のように草野球をした。駆け回ったのは近くの牧草地。ふわりと若草の匂いがした▼今は野球はテレビで見るだけになった。メジャーリーグの美しい天然芝に、ふとあの頃を思う時がある。一方、日本のプロ野球は無臭の人工芝が主流。地面が硬く、選手がけがをしやすいとよく言われる▼人工芝を採用する理由はさまざまだ。手入れにさほど手間が要らない。扱いやすく、野球以外のイベントにもそこを使える。ホーム球場を企業等から借り受ける球団も。なかなかチームの自由にできないのが現状でもある▼日本ハムファイターズが再来年、“自前”のスタジアムを札幌の隣町に完成させる。開閉式の屋根を備え、天然の芝を張る。冬は寒く、雪も降る北海道。芝の維持も大変だが、ファンへ向けての心意気と見る▼かつて高校野球の人気者だったハンカチ王子こと斎藤佑樹投手が、雑誌で甲子園を「実家」に例えていた。帰ってきたなあ―の安心感があると。「(天然芝の)青臭いような独特な匂い」が、そう感じさせるらしい▼光を浴び、風を気にしながら、時に雨に降られ、芝の匂いを吸い込んで…。「野球」の文字を見つめるたび、本来、大いなる自然の中のスポーツであることを思う。「芝の日」(4月8日)に書きそびれた話を、「みどりの日」に。