【日本の有人宇宙活動】転換期、求められる独自戦略

 国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の中で、写真に納まる山崎直子さんと野口聡一さん=2010年(NASA提供)
 国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の中で、写真に納まる山崎直子さんと野口聡一さん=2010年(NASA提供)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の野口聡一飛行士が、国際宇宙ステーションから米民間宇宙船クルードラゴン1号機で帰還した。野口さんと同時滞在した星出彰彦飛行士がステーション船長に就任するなど、日本は存在感を示している。だが、中国が宇宙ステーシ.....
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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の野口聡一飛行士が、国際宇宙ステーションから米民間宇宙船クルードラゴン1号機で帰還した。野口さんと同時滞在した星出彰彦飛行士がステーション船長に就任するなど、日本は存在感を示している。だが、中国が宇宙ステーション建設を始める一方で、国際ステーションは2024年に運用期限を迎える。有人宇宙活動は転換期にあり、日本も独自の戦略を求められる。[br][br] 日本人初のステーション同時滞在を果たしたのは10年の野口さん、山崎直子さんだった。山崎さんは日本人2度目の同時滞在に「再び実現できた。うれしい」と喜ぶ。[br][br] JAXAによると、米国とロシアだけでも宇宙飛行士は計70人(20年10月時点)。民間宇宙船は登場したが、日本人の飛行は約1・5~2年に1回程度でしかない。[br][br] 飛行の機会が限られる中で実現した今回の同時滞在。日本はステーションへの補給機打ち上げや、小惑星探査機はやぶさ2の成功などで総合力を高めてきた。山崎さんは「日本がステーションの運用を担う大事な一角になった」と指摘する。[br][br] 一方で、環境は急激に変化している。米国は有人宇宙飛行などの商業化を進めつつ、月や火星の探査に集中する考えだ。[br][br] 野口さんを乗せたドラゴン1号機が間もなく観光旅行用に改造されるなど、米国の宇宙飛行ビジネスは実現段階だ。日本でも「PDエアロスペース」(名古屋市)が航空機型宇宙船の開発に取り組んでいるが、大きく水をあけられている。[br][br] 米国依存度の高い日本の宇宙開発は、米国の政権交代で大きく左右される。トランプ前政権による有人月面探査「アルテミス計画」に参加し、有人活動の機会を確保する青写真を描いたのもつかの間、バイデン政権下で計画は延期もささやかれるようになった。[br][br] 宇宙開発に詳しい沢岡昭大同大名誉学長は「米国頼みには限界がある。日本は独自の新たな戦略を考えるべき時代に来た」と訴える。[br][br] 補給機こうのとりによる宇宙への物資輸送など、日本が培った技術は月や火星を目指す将来の飛行で大きな武器となる。欧州や、成長著しい東南アジア各国とのつながりも深く、日本が利用できる強みは多いという。 国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の中で、写真に納まる山崎直子さんと野口聡一さん=2010年(NASA提供)