【まん延防止措置】事実上休業「脱法行為」 酒提供停止で店の自由制限

 まん延防止等重点措置で可能な知事の要請
 まん延防止等重点措置で可能な知事の要請
業態や地域を絞って新型コロナウイルスの感染を抑え込むために新設された「まん延防止等重点措置」の運用を疑問視する声が出ている。政府はこれまで、緊急事態宣言と違って休業要請できず、私権制限の程度は低いと説明。だが都道府県知事が要請できる措置に「.....
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 業態や地域を絞って新型コロナウイルスの感染を抑え込むために新設された「まん延防止等重点措置」の運用を疑問視する声が出ている。政府はこれまで、緊急事態宣言と違って休業要請できず、私権制限の程度は低いと説明。だが都道府県知事が要請できる措置に「酒類の提供停止」が追加されたことで、事実上休業に追い込まれる店が相次いだ。国会では、野党から営業の自由を制限する「脱法行為」との指摘も出たが、政府は十分な説明をしていない。[br][br] ▽へ理屈[br] 「バーみたいなところに対してお酒を提供しない形でお店をやることはできますよと。それはへ理屈で、事実上の休業要請じゃないんですか」[br][br] 4月28日の衆院内閣委員会。立憲民主党の後藤祐一氏は語気を強めて質問した。西村康稔経済再生担当相は「休業の要請は行っていない。営業時間の変更よりも私権制約の程度は低いと判断している」と応じ、後藤氏は「脱法行為だ」と批判した。[br][br] 重点措置は、2月13日に施行されたコロナ対応の改正特別措置法で新設された。都道府県全体に感染が広がって宣言を出す事態になる前に、集中的な対策を講じるのが狙いで、飲食店などに営業時間の短縮などを要請できる。拒否すれば最終的に過料を科される可能性もあるが、西村氏は国会で「休業要請はできず、私権制約の程度は相当低い」と強調していた。[br][br] ▽内閣の裁量[br] 重点措置が適用された都道府県の知事が事業者に要請できる措置の詳細は、特措法ではなく政令で定められている。(1)従業員へのPCR検査勧奨(2)手指の消毒液設置(3)マスクを着けない人の入場禁止―などが列挙され、厚生労働相が必要と判断すれば追加できる規定もある。[br][br] 特措法改正議論の当初から、国会の関与なく内閣の裁量で私権制限の幅を広げられることを懸念する声があった。実際、法施行前に施設の換気が加わり、さらにアクリル板の設置やカラオケ設備の使用停止、酒類の提供停止などが次々と追加された。[br][br] ▽曖昧な限界[br] 酒類、カラオケが盛り込まれたのは東京都への緊急事態宣言がきっかけだ。都は4月25日から酒類を提供する店に休業を要請。重点措置が適用されている埼玉、千葉、神奈川の3県は都からの人の流入を不安視し、酒類の提供自粛を要請できるようにする制度改正を政府に要望した。政府は急きょ厚労相告示の一部を改正する形で応えた。[br][br] ある政府関係者は「ソフトドリンクまで出すなとは言っていない。休業要請には当たらない」と話す。こうした政府の主張に、千葉市中央区のワインバーを経営する60代の男性は「酒の提供ができないなら休業するしかない。本来なら宣言を出すべきだ」と反論する。[br][br] 特措法に詳しい日弁連人権擁護委員会の川上詩朗委員長は「知事が要請できる感染予防措置の内容が内閣に委ねられ、その限界が曖昧な特措法の構造的問題が顕著になっている。民主的チェックができる仕組みを確保する必要がある」と指摘する。[br][br]「損失への補償がなく、店によっては生活を脅かす問題だ。酒類の規制が感染予防という目的との関係で合理的か、他の方法がないかなども本来検証されなければならないが、政府は十分な説明をしていない」と話した。 まん延防止等重点措置で可能な知事の要請