天鐘(5月3日)

ドはドーナツのド―で始まるのは、おなじみの『ドレミのうた』。時代を超えて子どもたちを笑顔にする、国民的な愛唱歌である。体を大きく動かして、高らかに歌えば気分爽快。楽しみながら七つの音階も学ぶ▼「ドレミファソラシ」は西洋から持ち込まれた。古く.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 ドはドーナツのド―で始まるのは、おなじみの『ドレミのうた』。時代を超えて子どもたちを笑顔にする、国民的な愛唱歌である。体を大きく動かして、高らかに歌えば気分爽快。楽しみながら七つの音階も学ぶ▼「ドレミファソラシ」は西洋から持ち込まれた。古くは「ヒフミヨイムナ」と数字をあてがった。邦楽は伝統的に5音階。和と洋が融合して生まれたのが、ファ(ヨ)とシ(ナ)がない「ヨナ抜き音階」である▼今に歌い継がれる童謡や唱歌の大半は明治以降に作曲された。多くはヨナ抜き音階で、覚えやすく親しみやすい。演歌の主流でもある。いわゆる“日本的”なものに限らず、ポップスの仕込みにも用いられる▼NHK『みんなのうた』が放送開始から60年を迎えたという。子どもが心から楽しめる歌を―と始まった長寿番組。節目の年に合わせて往年の名曲の数々を紹介しており、懐かしさを覚える▼その数は1500曲とも。ジャンルを問わず、ヨナ抜き音階が少なくないことに気付く。童謡はもちろん、最近のヒット曲では『パプリカ』も。なぜか耳に残る感覚は、体に染みついた和音階のせいなのか▼「音楽は軍需品なり」。歌が国威発揚の道具にされた時代もあった。施行から74年を迎えた憲法の基本原理は国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義。“みんなのうた”を口ずさむことができる幸せをかみしめる。