【ワクチン接種本格化】国、接種促進策を連発 自治体任せ一転

 新型コロナワクチン 矢継ぎ早に打ち出された接種促進策(似顔 本間康司)
 新型コロナワクチン 矢継ぎ早に打ち出された接種促進策(似顔 本間康司)
大型連休後、全国の市区町村で新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化し、事業は大きく動きだす。5月10日の週からワクチンの供給量が大幅に増えるのに合わせ、全国で約3600万人いる高齢者の「7月末接種完了」(菅義偉首相)に向け、国はスピードア.....
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 大型連休後、全国の市区町村で新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化し、事業は大きく動きだす。5月10日の週からワクチンの供給量が大幅に増えるのに合わせ、全国で約3600万人いる高齢者の「7月末接種完了」(菅義偉首相)に向け、国はスピードアップ策を連発。感染「第4波」の拡大が続く中、自治体任せから一転し「介入」姿勢を強めている。[br][br] ▽「確約」[br] 「1時間当たり医師7550円、看護師2760円」。河野太郎行政改革担当相は4月30日の記者会見で、医療機関が集団接種に医師らを派遣した場合、支援金を出す方針を打ち出した。一度に打つ人数が多い集団接種が鍵とみており、ほかにもさまざまな対策を示した上で、1人当たりの「単価」まで挙げて制度の活用を呼び掛けた。[br][br] 国の姿勢の変化は、4月23日に首相が「7月末をめどに高齢者接種を終えたい」と明言したのが契機。記者会見で、歯科医師が打つことを可能とする対策も表明した。[br][br] 4都府県への緊急事態宣言発令後の4月27日、岸信夫防衛相らが自衛隊による大規模接種センターを東京などに設け、国自身も住民への接種に直接関わる方針を明らかにした。武田良太総務相も「自治体に早期接種を働き掛ける」と強調し、「従来はプレーヤーでなかった閣僚」(野党関係者)からの発信も相次いだ。[br][br] 河野氏が全市区町村への具体的なワクチン配送計画を示したのも、促進策の一環。供給を「確約」したことで「目安になる。安心だ」(岐阜市の担当者)との声も出た。[br][br] ▽求人広告 [br]「残る最大の課題」(首相)は、担い手などの確保。市区町村では、民間の派遣企業に頼るところが少なくない。看護師派遣大手のナースパワー人材センター(本社・熊本市)は、200超の相談を受けた。1自治体で1日当たり130人の派遣を求められた例もあった。人材確保では「資格があるが職に就いていない潜在看護師からの応募も来ている」と話す。[br][br] 医師らの紹介を手がける東京都内の企業には、地方の小規模自治体からの相談が多いという。地元医師会と十分な連携が取れていないことも一因となり、担当者は「市区町村が直接求人広告を出しても、人が集まらないようだ」と語った。[br][br] ▽潮目[br] 医師らの確保や住民予約の対応などさまざまな理由から、7月末までの高齢者分の完了時期が見通せない市区町村が全体の約6割に上る。ワクチン対策に傾斜する国は、矢継ぎ早に促進策を示して「前倒し」を求める。[br][br] 自治体間の「早打ち競争」を避けようと「自治体が接種するスピードに合わせ(ワクチンを)供給する」(3月の河野氏国会答弁)としてきた主体性に任せる姿勢はかすむ一方だ。[br][br] 連休直前、東北地方のある市に「ワクチンが早く届けば、5月末の集団接種開始を早められますか」と1本の電話が入った。総務省からだ。高齢者分の終了を8月と予定しており、「お尋ね」を受けた格好。この市は「難しい」と押し返した。[br][br] 総務省は、大型連休中も首長、市区町村の担当課などに計画の前倒しを働き掛けるとみられる。与党幹部は潮目の変化を感じ取る。「今後、マイペースだった自治体が『7月末』を突き付けられて焦りだすだろう」 新型コロナワクチン 矢継ぎ早に打ち出された接種促進策(似顔 本間康司)