水俣病65年、犠牲者に祈り 「解決まだ」救済訴え

 乙女塚で営まれた「水俣病互助会」による慰霊祭=1日午後、熊本県水俣市(代表撮影)
 乙女塚で営まれた「水俣病互助会」による慰霊祭=1日午後、熊本県水俣市(代表撮影)
四大公害病の一つ水俣病が1日、公式確認から65年を迎えた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、熊本県水俣市などが主催する犠牲者慰霊式は昨年に続き中止。患者団体「水俣病互助会」による慰霊祭があり、犠牲者へ祈りをささげた。参列者は「水俣病は解決.....
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 四大公害病の一つ水俣病が1日、公式確認から65年を迎えた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、熊本県水俣市などが主催する犠牲者慰霊式は昨年に続き中止。患者団体「水俣病互助会」による慰霊祭があり、犠牲者へ祈りをささげた。参列者は「水俣病は解決していない」と訴えた。[br][br] 慰霊祭は、犠牲者の遺品を納めた水俣市内の「乙女塚」であり、約40人が焼香し、手を合わせた。胎児性患者の坂本しのぶさん(64)は参列後、報道陣の取材に「チッソが憎い。周りの人を早く水俣病と認めてほしい」と話した。[br][br] 胎児性患者の娘を21歳で亡くした上村好男さん(86)は「65年たったが、国や県は被害者に目を向けていない」と行政の姿勢を批判した。[br][br] 中止となった慰霊式の緒方正実実行委員長らは「水俣病慰霊の碑」に献花。市は午後1時半ごろ、防災無線で黙とうを呼び掛けた。[br][br] 小泉進次郎環境相は「被害を受けた方々や家族が地域で安心して暮らせるよう、できることを一つ一つ積み重ねていく」、原因企業チッソの木庭竜一社長は「患者に対する補償責任の完遂と、地域社会の繁栄・発展に貢献する」との談話を発表。いずれも水俣市のサイトに掲載された。[br][br] 熊本、鹿児島両県などによると、3月末時点の認定患者は熊本県1790人、鹿児島県493人。患者は高齢化が進み、うち1988人は既に死亡した。認定申請中は両県で計1426人に上り、国やチッソなどを相手取った訴訟も各地で続いている。2009年成立の特措法が国に求めた住民の健康調査は、いまだに実現していない。 乙女塚で営まれた「水俣病互助会」による慰霊祭=1日午後、熊本県水俣市(代表撮影)