地方銀行連合を主導するSBIホールディングスが、中国金融大手の平安グループと進めていた合弁事業を解消したことが1日分かった。金融サービスの開発費用が想定より膨らむことに加え、中国企業がシステムの開発に関われば、サービスを導入する金融機関が顧客情報の流出を警戒すると判断。経済安全保障の重要性が増す中、地銀の業務改革に向けた起爆剤と期待された日中協力は準備段階で頓挫した。[br][br] SBIは合弁解消について「事業環境を総合的に判断した」(広報)と説明。詳細な理由を明らかにしていないが、関係者は共同通信の取材に対し、激化する米中対立や経済安保上のリスクが背景にあることを認めた。[br][br] SBIは「第4のメガバンク構想」を掲げ、福島銀行や島根銀行など各地の地銀に出資して経営を支援している。一方、平安グループは中国で、銀行や保険会社向けにスマートフォンのアプリ関連技術を提供。オンラインでの口座開設機能や人工知能(AI)を使った自動応答機能を備え、3千を超える金融機関への導入実績がある。[br][br] 2019年にSBIグループが60%、平安グループが40%を出資して「SBIワンコネクトジャパン」(東京)を設立。金融とITを融合したフィンテックサービスを開発し、地銀や保険会社、証券会社の新規サービスや業務効率化を後押しする計画だった。[br][br] だが、関係者によると、平安グループのサービスは中国語を前提に開発されているため、日本で導入するにはAIに日本語を学ばせるなど想定外の費用と手間がかかることが判明した。中国企業の技術をベースにした製品を採用した場合、地銀が導入に及び腰になるとの判断も働き、今年3月までに合弁解消を決めた。[br][br] 米中対立を背景に、日本企業が中国企業との連携について再考を迫られるケースが目立つようになった。3月に中国IT大手から出資を受けた楽天グループも、顧客情報の流出を警戒する日米当局の監視対象となったことが判明している。